IN/OUT (2007.11.11)

今年も、東京海洋大学の海鷹祭に行ってきました。海鮮系がやたらと充実した屋台とマグロ解体ショー目当てに、多くの近隣住民が集う、まさに地域に開かれた大学祭。しかしながら、解体ショー後のマグロ即売で激しく押し合うおばちゃん・おじちゃんの姿は、ご近所の品位が疑われそうな勢いで、いささか閉口。


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"Our Daily Bread"07.11.11

食料が「大量生産」される現場を写したドキュメンタリー映画を観てきた。邦題は「いのちの食べかた」。

取材されているのは、牛、豚、鶏の種付け・肥育から屠畜〜解体までの一連の様子、鮭の加工場、トマトやレタスなどの大規模農場、岩塩採掘現場など。ナレーションも字幕も音楽も無く、映像だけが次々と流れていく。考えさせられる点も多く、また、消費者として知っておくべきことが多々含まれている作品だ。

工業製品のように、ベルトコンベアで大量かつ猛スピードで運ばれるヒヨコなど、どこか面白みも感じる映像もあるが、牛や豚の解体シーン(これもまた、ベルトコンベアの流れ作業)のような、日頃、我々の目から隠蔽されている生々しいシーンも多い。また、現場で働いている人々のランチ・タイムのシーンが意図的に多く挿入されているようだが、それは、農畜産業に携わっている人の昼食として想像されるような牧歌的なものではなく、まさに、大規模工場での労働者の食事だ。

言葉による説明を一切廃したのは、観客に何らかの価値観を押しつけることなく、ただ事実だけを提供しようという製作者の意志だろう。一方、映像の方は、左右対称の構図など、こだわりが感じられる。単に事実を列挙したのでなく、作家性が強く感じられるドキュメンタリーだと思う。しかし、劇場公開する映画としては何かもう一工夫無いと、集中して見続けるのが辛いと感じたのが残念。



牛や豚の解体の様子はショッキングでも、マグロの解体はショーとして楽しめちゃうんだよなぁ…