IN/OUT (2007.11.4)

東京駅界隈がTOKYO STATION CITYとして再開発されたようで、相変わらず景気の良いご時世です。しかし、古い大丸地下にあったキーコーヒーの店が無くなったみたいなのが個人的には非常に痛い今日この頃です。


in最近のIN

"More" & "La Vallée"07.11.2, 4

Pink Floydが音楽を担当したBarbet Schroeder監督の映画が二本、立て続けにレイト・ショーで公開されていたのを観てきた。どちらも、薬物あるいは秘境が「カウンター・カルチャー」の象徴として機能していた時代の作品だ。

まずは、"More"。大学を出たばかりのドイツ人青年が、パリで出会った女性を追ってイビザ島へ。二人だけの世界で、マリファナ、ヘロイン、LSDと、薬物に溺れていく。ある程度の事前知識から、もっと、サイケデリックで前衛的な映画と思っていが、実際は、破滅へ向かう青年を淡々と追っていくストーリーだ。60年代のヒッピー文化の中心だったイビザ島の風景は、1969年製作の粒子の粗いフィルム映像で見ると、美しいというより、主人公の虚無的な心象風景を映す生々しさがある。

二日後に、"La Vallée"を観る。フランス人外交官の妻が、ひょんなことから知り合ったヒッピー探検家達とニューギニア奥地、地図にも載っていない谷を目指す旅に出る。常に「雲の影」に隠れていて飛行機からも見えないその谷を楽園と信じて進む彼らの姿は、俗世間に背を向け、結局は破滅へと突き進んでいくという意味で、"More"の主人公と同じだ。原住民の祭りの描き方などが、TVが世界中の秘境をバラエティ番組の舞台にしてしまった今の感覚で見ると辛いところが難点か。

1969年と72年の作品なので、Pink Floydの音は、"The Dark Side of the Moon(「狂気」1973年)"以降のやたらと大袈裟なものではなく、初期のサイケデリックな雰囲気が強い。また、映画の様々な場面使われるために、バラエティにも富んでいる。どちらの作品も短時間で録音されたこともあって、彼らの音楽のルーツがストレートに反映されているような印象だ。

21世紀になって、こんな上映を行っているのは、シアター・イメージフォーラム。なかなか良い作品をセレクトしてくれる映画館である。



再開発といえば、我が家の目の前に建ちつつある超高層集合住宅の一階部分に店舗がオープンしました(住宅自体の完成はまだ一年近くかかるみたいですが)。以前は老朽化した市場だったのが、集合住宅建築のため、一時、プレハブ仮店舗になって、このたび、再オープンという次第。元々が古びた商店ばかりだったので、プレハブに移転したときは違和感がなかったけど、逆にプレハブからきれいな建物に移ってくると、なんかそぐわないような気も…