IN/OUT (2007.4.22) |
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二日酔い状態で髪を切ってもらいに行くのは止めた方が良いということを実感する今日この頃です。いや、じっとしているのも結構きつかった。 最近のOUT"Hannibal Rising" (07.4.21)レクター博士を主人公にしたシリーズ最新作を観てきた。 レクター博士が初登場する小説版「レッド・ドラゴン」は、かなり水準の高いスリラーだし、続く「羊たちの沈黙」は、小説も映画も、とても良くできた作品だったと思う。この二作では強烈な印象を残す脇役だったレクター博士が、完全に主役になったのが前作の「ハンニバル」。そして、今回の作品では彼の若かった時代を描くということである。 果たして、いったい何が描きたかったのか、よく分からない映画だった。ストーリーも演出も凡庸の極み。そして、日本人にとっては噴飯物の紫式部(映画の中では、"Lady Murasaki"と呼ばれていたが、クレジットでは"Lady Murasaki Shikibu"になっている)。あの時代、あんな日本女性がフランスの貴族と結婚していたという設定のどこに説得力があるのか? もっとも、彼女を演じたGong Liの美貌だけがこの映画の見所なのも事実ではある。 どうやら、原作者Thomas Harrisは、自らが作り出した作中人物・世界に、逆に囚われてしまったようだ。前作、小説版「ハンニバル」では、「羊たちの沈黙」で主演したJodie Fosterに対する性的妄想を炸裂させたかのようなラストに、読む方がいたたまれなくなってしまったし、その映画化作品(Jodie Fosterが降板したのは当然だろう)では、妄想こそ緩和されていたが、殺人鬼レクター博士のヒーロー化には、ついていけない感じが残った。そして、この作品では、ストーリーの捻りもなく、ナチスと戦争犯罪人を悪役にすることで、レクター博士の異常さを正当化したかっただけのように見えてしまう。 「いや、もう今日は帰って寝るだけで…」と言っても、「まぁ、それでも」ときっちり仕上げる美容師のプロ意識にも驚かされましたです。 |