IN/OUT (2007.3.18) |
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暖冬と騒いでいたのが嘘のように寒くなってしまった三月。風が強い日が多いのがさらに辛い。ビル風は困ったものです。 最近のIN"The Last King of Scotland" (07.3.17)アミン大統領時代のウガンダを舞台にした映画を観てきた。 坊ちゃん育ちのスコットランド人青年医師が、ひょんなことからアミン大統領の主治医となる。茶目っ気ある大らかな人柄で周囲の人々を惹き付けるアミンだが、やがては政敵を大量虐殺する狂気の独裁者と化していく。元々、途上国医療問題に対する熱意など無く、モラトリアム気分の物見遊山的態度でウガンダにやってきた青年医師は、大統領側近になったことを無邪気に楽しみ、アミンの正体に気づいた時には、のっぴきならない状況に追い込まれている。ここからの展開は、恐ろしいまでの緊張感の連続で、下手な犯罪スリラーなんかよりも、はるかに怖い。 この主人公、観ていて腹が立ってくるほどの能天気さで、正直、感情移入しにくい。ストーリーの要所要所で、色々な立場の人が彼を諫めるのだが、彼自身が自分の過ちの重さを思い知るのは、終盤になってからだ。そんな、嫌なタイプの主人公だが、それでも彼が窮地を脱せられるのか手に汗握ることになるのだから、Kevin Macdonald監督の緊迫感の盛り上げ方は中々のモノだ。 サスペンス映画としても素晴らしいし、権力は腐敗する、絶対的な権力は狂気へと向かう。という教訓的な要素を読み取ることもできる映画だろう。しかし、それ以上に見所なのが、怪物アミンを演じたForest Whitakerの演技だ。最初の登場シーンで見せるカリスマ性は、観ている私まで引き込まれるほどだし、心の奥底に潜む小心さ、やがて表面化してくる狂気と残虐性、様々な表情を使い分ける姿は、芝居を超えた迫力がある。アカデミー賞受賞も当然の、本当にすごい演技で、これだけでもうお腹一杯である。 今年は暖かいので杉花粉が飛び始めるのが早かった分、終息するのも早いかと期待していたのですが、果たしてどうなる? |