IN/OUT (2007.2.25)

今月は結局、仕事の合間、週末深夜に映画館に転がり込むだけの日々となりました。まぁ、規則正しいとも言えるのか…


in最近のIN

「叫」 (07.2.24)

監督:黒沢清、プロデューサー:一瀬隆重という、日本ホラーを代表する組み合わせ(因みに、一瀬氏が学生時代に監督した自主映画「ユートピア伝説」をリアルタイムで観ていることが、今となっては結構な自慢の種である)の新作を観てきた。

黒沢監督のホラー映画は何本か観ているが、全体に漂う不安定感と不条理感が、あまり得意では無かった。この映画も傾向は同じだが、シンプルな幽霊譚という側面もあり、取っつきやすい。

葉月里緒菜扮する幽霊は、いつの間にか画面に忍び込んでくるという感じの登場の仕方で、背筋を凍らせる。「リング」の貞子や「呪怨」の伽椰子のような禍々しい登場の仕方とは対極だが、これが怖い。恐怖がじわじわと染みこんでくる演出だ。近年ブームになっているジャパニーズ・ホラーとは一線を画すという感じだが、次々と人に祟っていく「赤い服の女」の迷惑ぶりは、貞子や伽椰子以上かもしれない。

久しぶりに観た(低予算の)邦画で、フィルムの粒子感に最初は違和感を感じたが、これもまた雰囲気を醸し出している。観たのが、映画の舞台になっている湾岸地域の映画館というのも、味わい深さを増したようだ。



ということで、観たい映画に行くのではなく、観られる映画に行くという今日この頃です。まるで、海外旅行時の鉄則、トイレは行きたい時に行くのではなく、行ける時に行っておく、みたいですが、まぁ、予想外に面白い作品にも巡り会えるので良しとしましょう。