IN/OUT (2006.10.22)

この週末は、急遽、作文の宿題のようなものが出てしまい、やたらとキーボードに向かっております。肩こり対策には、B級映画を。


in最近のIN

"Snakes on a Plane" (06.10.21)

毒蛇の大群が飛行機内をパニックに陥れるという映画を観てきた。邦題は「スネーク・フライト」

FBIに護送される証人の口を封じるため、ギャングのボスが毒蛇を飛行機内に放つという、荒唐無稽なお話。とにかく、蛇の大群が密室状況の飛行機内に溢れかえる、という一発アイディアを強引に展開させたかったのだろう。設定上無理がある点、矛盾点を挙げていったら、きりがないし、登場人物たちも、見事なまでのステレオ・タイプだ。

しかし、観客が見たがっているものを、テンポ良く、出し惜しみなしに見せてくれる手際の良い演出は、ポップコーン片手に観る映画としては、文句なし。えぐい描写や、下品な笑いも盛り込みつつ、ハリウッド映画には珍しくあの小動物が犠牲になる所など、ブラック・ジョークもあり、ラストに流れる能天気主題歌ビデオ・クリップまで、実は計算され尽くされた馬鹿映画ではないか、という気がする。

この、ある種、志が高いとさえ言えそうな馬鹿馬鹿しさに共感したのが、主演のSamuel L. Jackson。彼は、この映画のタイトルを聞いただけで、内容も確認せずに出演を承諾したらしい。その中学生マインドに大いに共感するのである。



私の大好きなミステリ作家、P. D. Jamesの「人類の子供たち(The Children of Men)」が映画化されるという噂を以前から聞いていたのですが、それが「トゥモロー・ワールド」というタイトルで、間もなく公開されることを映画館で知りました。

元々、重厚な本格ミステリの作家である彼女が、SF的設定で描いた近未来小説という異色作ですが、決して、映画の宣伝ビラに書いてあるような「人類の未来を変える少女を巡る攻防!」なんて内容ではありません。調べてみると、この映画の監督は、小説と映画の内容は無関係と言い切り、さらには、原作自体、読んでいないとのこと。

馬鹿映画を真剣に撮る人達には好感は持てても、こういう原作軽視のハリウッド大作は、本物の馬鹿だと腹が立つのですが、それ以上に腹立たしいのは、従来「人類の子供たち」だった書名を、(内容が全くの別物と分かっているのに)映画と同じ「トゥモロー・ワールド」にして販売し始めた早川書房。出版社には原作に対する愛を持ち続けてもらいたいものです。