IN/OUT (2006.10.1)

このページのHTMLファイルには、"io"+年+連番、という形式で名前を付けています。今週で、連番が40番台に突入。今年も8割方過ぎてしまったということですな。早っ!


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Christopher Cross at Blue Note Tokyo (06.9.30)

Christopher Crossの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。

1980年のデビューアルバム"Christopher Cross(邦題は「南から来た男」)"が大ヒット。最初は公開されていなかった顔写真が明らかになったときは、その美しい楽曲の印象とのあまりのギャップが、さらに大きな衝撃を与えたものだ。このアルバムと、映画主題歌 "Arthur's Theme (Best That You Can Do) (邦題は「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」)"のヒット以降は、見事に下降線を描いてしまったミュージシャンだが、私の中では「大物」という印象が消えていなかった。しかし、この日集まった観客の様子(熱狂的なファンのような人をほとんど見かけない)を見る限り、すっかり「過去の人」という感じだ。

ブルーノート東京は、矢野顕子グループ(aka さとがえるトリオ)の公演で何度も訪れているが、他のミュージシャンを見に来たのは初めてだった。さとがえるトリオの公演では絶対に選ばない、ステージ向かって右側(あのトリオの演奏だとドラムの音が大きすぎるのだ)、隅のカウンター席に陣取る。店全体が見渡せる場所で、それほど音楽的にハマっている訳ではないミュージシャンをのんびり観るには、良い位置だ。例によって、きれいに盛りつけられてはいるが、コスト・パフォーマンスは最悪の料理と、出てくるまでに異常に時間がかかるカクテルで時間を潰し、開演を待つ。店員の態度がちゃんとしているのが救いだが、何ともお高くとまった店である。

そして開演。ステージには、ドラム、キーボード、ベースの三人を従え、ギターを抱えたCross氏。悲しいほど、見た目からは大物ミュージシャン・オーラが感じられないが、声もギター・プレイも、それほど衰えたという訳では無さそうだ。キーボードの女性が、ヴォーカリストとしても相当の力量で、二人のデュエットは、結構盛り上がる。

全体としては、毒にも薬にもならないA.O.R.だが、デビューアルバムからの曲、特に、ラストに演った"Ride Like the Wind(邦題は「風立ちぬ」…こりゃ酷いな)"などは、やっぱり良い曲だなぁと思うし、何よりも、あの時代に結びついたBGMとして、あの頃の匂い、感情の残像のようなものが蘇ってきて、しみじみする。

アンコールが、自分の曲ではなく、The Beach Boysのメドレーだったことも、単なる懐メロ歌手に成り下がってしまったかのようで、悲哀も感じたが、さとがえるトリオの公演では、ひたすら音楽に没頭しているので、このように緩くブルーノート東京を楽しむのも、面白い機会だった。



近所にあったコーヒー屋が撤退してしまいました。日々の労働を支える重要な燃料の一つなので、これは痛い。まあ、別の店で豆を買えば良いのですが、これまで貯めたスタンプカードの事を考え、電車賃を使って同系列の店まで行ってしまうのは、本当に経済効率に見合っているのか、熟慮が必要だと思う今日この頃です。