IN/OUT (2006.8.5)

日本の映画館では、本編上映前に海賊版撲滅キャンペーンのメッセージが流れるのですが、これが、女の子が黒い涙を流すという、伝えたい雰囲気は分からなくはないけど、効果はゼロだと思われる代物です。あたかも、覚醒剤撲滅の警視庁のポスターぐらい、実効性が無い。

これがシンガポールだと、車上荒らしや万引きの現場の映像をテンポの良い編集で見せて、「海賊版を観ることは映画を盗むこと=犯罪である」という直接的なメッセージを叩きつけるものになっています。これだって効果はたかがしれているとは思いますが、日本の、いかにもクリエーターが自己満足で作ったような雰囲気だけのものよりは、百万倍はましだよなぁと、映画館に行くたびに思います。


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「<東京の夏>音楽祭 2006 ユッスー・ンドゥール」 (06.8.5)

セネガルのスーパースター、Youssou N'Dourの公演を観に、人見記念講堂に行ってきた。

Youssou N'Dourは、セネガルの伝統音楽をベースに、欧米のポップ・ミュージックも融合した、いわゆるワールドミュージックを代表するミュージシャンだ。Peter Gabriel、Sting、坂本龍一などとも共演している。

昭和女子大学の中にある人見記念講堂は、矢野顕子とBill Frisell、Nana Vasconcelosが共演したコンサートを見に来て以来、約15年ぶりだ。大手を振って女子大の構内に入れるという不純な楽しみがあるというのは置いておくとしても、私立大学がこのような良心的なコンサートホールを運営し続けているというのは、大したものだと思う。

場内には、アフリカ系の人達の姿が目立ち、また、日本人の観客も、日頃私が行くようなコンサートにいるのとは別種の人達が多いように思う。あ、某有名在日音楽評論家がすぐ近くの席にいた。

バンドは、ギター、キーボード、ドラムス、コーラスの女性という、通常のロックバンド編成の他に、パーカッションとトーキングドラムが三人。さらにダンサーが一人。普通の欧米ポップスの文脈とは違う曲調だが、ノリの良いパーカションが響き渡り、Youssou N'Dourの張りのある声が、実に心地よい。会場も総立ちだ。一回目のアンコール終了後、場内が明るくなっても鳴りやまない拍手に、二回目のアンコールも実現。心地良いノリの良さ、という面では、本当にすばらしいライブだった。もっとも、個人的に苦手な、会場揃って大合唱・会場揃って同じ振り、を強いられるのは、いささか辛いものがあったが。

個人的に興味深かったのは、私の前の席にいた、いかにも「LOHAS」や「スローライフ」といったキーワードが好きそうな夫婦(かなり、私的偏見が入っているが…)が、妙に意気のあったステップで踊り続けていたこと、それとは対照的に、立ち上がってはいるけど微動だにしない黒人男性がいたこと(当たり前かもしれないが、黒人だからといって、皆が皆、リズム感バリバリ、という訳ではないのだろう)。そして、モデル並みの容姿を誇る黒人女性が多数客席にいた、ということだったりもする。



明日は終日、この夏最後のイベント参加、ということで、通常より一日早い更新となりました。