IN/OUT (2006.7.9)

消費者の心を掴もうと、際限なく新商品が出てくる様子には感心させられるものです。あたかも少年漫画の必殺技がどんどんエスカレートしていくかの如く。たとえば、替え刃式の剃刀。二枚刃のそり味に驚いていたら、三枚刃の時代になり、いまでは四枚刃の商品も出回っています。四枚まで来ると、もはや仕様のインフレ状態という感じで、やり過ぎだと思うのですが…


in最近のIN

「少年ナイフ -712 DAY PARTY Tour 2006-」 (06.7.8)

少年ナイフのライヴを観に、渋谷のClub Quattroに行ってきた。

今年が結成25周年になる少年ナイフは、インディーズでのデビュー後、日本よりも先に、アメリカなど海外で評価された女性ロックバンドだ。Kurt Cobainに誘われて、1991年のNirvanaの全英ツアーに前座として同行したり、Microsoftの全世界向けCMに楽曲が使用されたりしているのだから、欧米で最も成功した日本人バンドと言っても大袈裟ではないだろう。もちろん、東洋人の女の子が訛った英語でロックを演るという「イロモノ」的要素で受けたということもあるのかもしれないが、それだけで、あの成功が収められたとは思えない。彼女達のロック魂が、欧米のロッカーにも共鳴したに違いない。さらに、これだけ海外で評価を受けても、自分たちのスタイルを崩さない活動を続けているところが格好良いのだ。メディアの仕掛けに乗っかって「海外進出」する日本人アーティスト(最近だとPuffyとか)とは根本的に違う、自然体での進出なのだ。1998年に中谷美智枝さんが脱退し(個人的には、美智枝さんが作る、ちょっと捻った楽曲が好きだったので、彼女の脱退は大きなショックだったのだが)、山野姉妹の二人だけになってしまったが、今年、新たにドラマーとしてえつこさんが正式に加入。なおこ、あつこ、えつこのスリー・ピース・バンドになっている。ただ、あっちゃんが今年3月に結婚され生活の拠点が米国になるため、別のメンバーを入れることを計画しているそうだ(あっちゃんも、完全に脱退してしまうという訳では無いとのことで一安心)。

さて、ライヴでは、まずは前座としてThe Posiesが出演。私は知らなかったのだが、シアトル出身のベテラン・バンドだそうだ。でかい白人のおじさん4人組だが、派手なジャンプを決めながら熱いロックを展開。1時間は長いような気もしたが、予想以上に楽しめた。

そして、小休止の後、少年ナイフの登場。彼女達のライヴを観るのは初めてだったが、山野姉妹の演奏姿が、想像以上に決まっているのに感動。新メンバー、えつこさんのドラムも、パワフルで良い感じだ。ただし、演奏テクニックや歌唱力が突出して凄いという訳じゃない。衣装やメイクも、いわゆるロック・スターっぽいものとは全然違う。曲間のMCも脱力系だ。それなのに、ステージから放出されるロック・スピリットは、実に強力なのだ。このかっこよさは、まさに少年ナイフ独自のもので、他に似た存在を思いつかない。

キャッチーでポップな曲から、パンクまで、新旧の幅広い選曲で会場も盛り上がり、アンコールは二回。彼女達こそ、日本ロック史上、最も格好良いガール・ロック・バンドだという以前からの思いをさらに強くする、実に良いライヴ体験だった。



で、最近驚いたのが野菜ジュース。「1本で1日分の野菜」が取れることを謳った商品が流行っています。(栄養価的に本当なのかどうかは別にして)分かりやすいキャッチコピーで巧いなぁと感心していましたが、さすが高度資本主義社会。仕様のインフレは止まらない。「1.5日分の野菜」という商品も出ているのを発見。でも、これだと、「1本で1日分」の野菜のジュースを毎日飲んでいた人は、3日で2本のペースで飲めば良いということになって、売上的には逆効果じゃないのかしらん?