IN/OUT (2006.5.14)

話題の表参道ヒルズに行ってみました。

既に、オープニングの喧噪は一段落したかと思っていたのですが、どうしてどうして、凄い人出でした。ただ、入居しているテナントを見る限り、大量の集客力のあるような店はあまり多くないのでは無いでしょうか? 訪れている人のほとんどは、私と同様、物見遊山気分のお上りさんばかりだったような…


in最近のIN

"Caché" (06.5.14)

カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したフランス映画を観てきた。邦題は「隠された記憶」。英語タイトルは"Hidden"。

何者かに盗撮された自宅前の様子のビデオ・カセットが送られてくる発端は、David Lynchの"Lost Highway"のようだが、あそこまで不条理な世界に突入する訳ではない。しかし、(意図的に、だろう)通常の場面なのか、ビデオ映像なのか、あるいは回想シーンなのか、一見では判断できない画像が続き、観る者を不安にさせる。BGMが無く、映像の切り替えのテンポも独特で、一般的娯楽作とは全く違うスタイルだが、緊張感が途切れることは無い。

主題としては、現代のフランスが抱える問題を描いているのだろう。しかし、印象としては、もっとパーソナルな不安感を煽り立てる作品だ。筋の通った解釈がはっきりと示される訳ではなく、特に、ラストの(何のことはない下校時の風景が映し出されるだけだが)薄気味悪さは、(良い意味で、というのも変な日本語だが)後味の悪いこと、この上ない。

上映館は、渋谷のユーロスペース。以前は、渋谷の桜丘にあった。渋い佳作を上映する地味な所で、何度か訪れたことがあったが、最近、円山町に移転したらしい。周囲の猥雑な環境の中、お洒落なシネマ・コンプレックスを構成しているようで、驚いた。それなりの集客を続けていたのだろう。単館系の上映館がちゃんと営業を続けられるのは、東京の良さだと思う。



さすが、安藤忠雄氏デザインの建物は、考え抜かれた、凡百の再開発商業ビルとは一線を画する空間でした。建物自体の魅力で、テナントなんかはどうでも良い、という気すらしてきます。ただ、「表参道ヒルズ」というネーミングは何とかならなかったのでしょうか? 「ヒルズ」って言葉に、まだ魅力が残っているのか?