IN/OUT (2004.8.22)

いやー、惜しかった。当地時間、日曜の夕方6時からという絶好の時間に試合があり、TVの前で手に汗握って応援していたのですが、卓球のLi Jia Wei選手、三位決定戦に敗れて、四位止まり、メダル獲得はなりませんでした。

1960年(まだ独立前)に重量挙げで獲得した銀メダルが、シンガポールにとっての唯一のオリンピック・メダルです。アテネでは、バドミントンのRonald Susilo選手(因みに、Li Jia Wen選手のボーイフレンド)も一回戦で中国の強豪を破り期待されたのですが、準々決勝で敗退。今回のオリンピックでも、メダル獲得は不可能でしょう

ただ、あまりシンガポール国民の関心が高いとは思えません。マスコミの報道はオリンピック一色と言うにはほど遠いし、職場で誰もオリンピックの話題なんかしない。てっきり出場選手がほとんどいないのだと思い込んでいたけど、意外にも6競技(陸上、バドミントン、ヨット、水泳、射撃、卓球)に16人の選手を派遣しているのでした。

盛り上がらない要因の一つに、TV中継があるのかもしれません。日本でのオリンピック中継のように、自国の選手を熱く応援するような実況は皆無。シンガポール選手が出場している種目でも、第三国のアナウンサーによると思われるニュートラルな立場での実況がされています。シンガポールの放送局自体にはスポーツ実況ができるアナウンサーがいないためだと思いますが、これじゃ、ちょっとつまらないかも。

もっとも、そういうニュートラルな放送で日本選手が勝つのを見ると、痛快さ倍増、という気もしています。


in最近のIN

"Fahrenheit 9/11" (04.8.21)

Michael Moore監督の話題作を観てきた。

もっと露骨にGeorge W. Bush大統領を揶揄する映画かと思っていたが、単なる個人攻撃には留まらない、もっと志のある作品だった。

素材自体は現実の映像を使っているが、その切り取り方やつなぎ方に強いメッセージが込められているので、対立する陣営の人達だけで無く、客観的ドキュメンタリーを期待している人にも、評価は悪いかもしれない。しかし、これをNHKのドキュメンタリー番組のようなものと同列に捉えるのは間違いだろう。Michael Mooreという映画作家が作った商業映画として観るべきだと思う。そして、商業映画という枠組みの中で、はっきりとした自己主張を打ち出したMichael Mooreの気骨と、その主張を支える編集テクニックは大したものだ。

ただし、商業映画と割り切って観ると、ちょっと物足りなさはある。何より、Michael Moore自身が取材している映像が少ないので、物語的な流れが弱いのが残念ではあった。


"Alien Vs. Predator" (04.8.22)

エイリアンとプレデター、二大SF映画モンスターが対決するという映画を観てきた。

エイリアンの第一作、"Alien"は個人的にも大好きな映画だし、世間的にも、この種のSFホラー映画の記念碑的作品として認められていると思う。しかし、アメリカン・コミックの世界でエイリアンは、"vs. Batman"や"vs. Judge Dredd"など、様々なヒーローとのバトルの相手に指名される人気悪役キャラとして、すっかりお馴染みになっているというか、落ちぶれてしまっているというか…。そうした対決シリーズの中でも代表作となっているのが、この対プレデター戦のようだ(元々、映画"Predator 2"の中に、プレデターの戦利品としてエイリアンの標本が出てきたことが、こうした対決企画の元になったらしい)。

そんなもの実写化しても、小・中学生向けの夏休み映画にしかならないだろうと思っていたが、中々どうして、活きの良いアクション快作だった。設定はご都合主義だらけでツッコミどころ満載ではあるが、両者の世界観を摺り合わせるための退屈なシーンを増やすよりは、これぐらい割り切ったスピード感で話を進めて正解だろう。Paul W.S. Anderson監督は、このようなビデオ・ゲームのようなノリのアクション映画ばかり撮っているようだが、確かに手際が良い。深く考えず、納涼アクション映画!と割り切れば、とても楽しめる。

過去の作品で描かれたエイリアンとプレデターの特徴が活かされているし、生身の"Bishop Weyland"を登場させるなど、旧作のファンへのサービスも盛り込まれている。ただ、個人的には"Aliens"で登場した"Queen Alien"という設定は受け継いで欲しくなかった。ああいう、いかにもラス・ボス的存在って、逆にしらけてしまうと思う…。



一方、この期間、NHK国際放送は特別な編成になります。

と言っても、オリンピック関連報道の強化とは正反対。通常は日本と同時に放送されているニュース番組が、一時間遅れの録画放映、しかも、オリンピック関連の部分を全てカットした短縮版になってしまいます。放映権の問題で、海外ではそのまま放映することができないからです。

その代わり、国際放送用に、日本選手の活躍を伝える短い番組が用意されています。競技によって多少は認められているようですが、それでも動画像はごく僅かしか流れません。伝えるのは、ベテラン、西田善夫氏。30年ぐらい前にタイムスリップしたかのような、落ち着いた名調子で報道されるオリンピックも、しみじみとした味わいで…。