IN/OUT (2004.4.4) |
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結局、サッカー・ワールドカップ予選は、同僚と夕食がてらのTV観戦となりました。 とりあえずの辛勝にほっとする日本人に対し、自国のスポーツにはほとんど期待しないというシンガポール人スタッフ(彼らにとって気になるスポーツは、ヨーロッパのプロ・サッカーやアメリカのゴルフ・トーナメントなのだ)の、シンガポール代表に対する冷淡さが印象的でした。 最近のOUT"The Passion of the Christ" (04.04.03)Mel Gibson監督の問題作を観てきた。"passion"という単語は、普通は「情熱」という意味だが、この映画のタイトルのように"the"を付けて"P"を大文字にした"the Passion"になると「キリストの苦難」を意味する(ということを、この映画を通じて知った)。 単純に映画として見れば、駄作だと思う。演出、特にカメラワークが、なんか下品というか安っぽいし、イエスが処刑されるまでの十数時間を描くだけのストーリーは、聖書の記述を観客に追体験させるのみで、波瀾万丈の展開や意外なオチがあるはずもない。 Mel Gibsonは熱心なカソリックで、その宗教的情熱から自らの資金を投じてこの映画を製作したという。非クリスチャンにもアピールするようなことは初めから考えてないのだろう。延々と、責め苦を受けるイエスを映し出すばかりだ。この映像をMel Gibsonは「真実」に近い描写だと言う。実際、俳優たちのセリフは、ラテン語とアラム語という当時の言語で話され、英語字幕が付く。そのため、一見すると現実に近い映像という印象を受けてしまうが、全てを鵜呑みにするのは危険だろう。彼の言う真実は、あくまでも「聖書」の記述に基づいたもので、最新の歴史学等の成果を反映したものではない。 しかし、「本物っぽい」映像を見た多くのキリスト教信者には大きな衝撃を与えることになったようだ。実際、米国ではこの映画の公開後、一部の人達が公然とユダヤ人を敵対視しているらしい。Mel Gibsonが、自分の信じる「真実」を忠実に映像化しようとした情熱を責めることはできないかもしれないが、どこか釈然としないものが残る。 因みに、これまでなら、残酷描写の多さからシンガポールでは「R指定」を免れない作品なのだが(「R」だと年齢制限だけでなく、郊外の住宅地にある映画館でも上映できない)、当局はこの映画のためにわざわざ「M18」という新しいレイティングを設けた。意外にクリスチャンが多い国なので、政治的配慮が働いたようだ。満員の館内には、イエスが責め苦を受けるたびに息をのむ声が響いていた。 SISTICを憂える (04.04.04)ワールドカップ予選の観戦チケットの販売を通して、日本でも知名度があがったのではないかと思われるSISTICだが、ぴあやローソンチケットのような日本の同業者と比べると、著しくクオリティが低いのが気になる。 これまで、ウェブサイトを通じて予約をすることが多かったのだが、最近、エラーが頻発するようになった。Singapore Arts Festival関連のチケットを取ろうにも、うまくいかない。仕方なく販売窓口に行ってみたのだが、オペレーターの手際の悪さに驚愕。そういえば、サッカーのチケット発売の時も、窓口でのオペレーション・ミス("Japan vs Singapore"を、"Germany vs Singapore"と入力されて「そんなチケットはありません」と言われている内に売り切れになってしまった人もいるらしい…)が頻発したそうだが、さもありなん。 まぁ、当地の一般的な店員の質から考えて、オペレーターの手際に期待できないのは分かっているので、せめてシステムの方はしっかりしてもらいたいのだが。ウェブサイトからの予約システムの不具合について照会のメールを送っても、なしのつぶてだ。当地で行われるイベントのほとんどの発券業務を一手に引き受けている、ほぼ独占状態の企業の奢りだろうか。ぷんすか。 因みに、日本代表ご一行が泊まったのが、オフィスのすぐ近くのホテルでした(あまり高級じゃないところなのだが…)。昼食をそのホテルに隣接したショッピング・モールのフードコートに食べに行くというミーハーぶり。目撃はできなかったけど。 試合会場まで見に行った日本人同僚曰く「久しぶりに、普通の日本の若者を沢山見ました」。なるほど。駐在員社会は狭いからなぁ… |