IN/OUT (2003.9.27)

先週末は、東京にいました。
たまに東京に行くと、町に溢れかえる情報と商品の多さに圧倒されてしまいます。これじゃ、時間もお金も、いくらあっても足りなくなりそうで、怖い怖い(← 饅頭怖い的な怖がり方)。


in最近のIN

"YES 35th Anniversary World Tour Singapore" (03.9.25)

YESのコンサートを観に、Suntec International Convention Centreに行ってきた。

メンバー・チェンジの激しいことでも有名なバンドだが、今回のツアーは、結成35周年記念として、Jon Anderson, Steve Howe, Chris Squire, Alan Whiteに加え、帰ってきたRick Wakeman。個人的にはドラムはBill Brufordが良かったのだが、とにかくも、ほぼベスト・メンバー。この布陣でのYESのライヴを21世紀になって観られるとは!! Jonの怪我でコンサートが延期になった時は、すっかり諦めていたのだが、ちゃんと公約通り、シンガポールにやってきてくれた。もう、それだけで嬉しい。本当に演奏を観られるのか、ドキドキ。随分昔の友達に久しぶりに会いに行くような高揚感と不安を抱えつつ、コンサート会場に向かう。

演奏が始まった。ステージ上には、「不思議ちゃん」のまま年老いたJon、実直な働き者のSteve、目立ちたがりのChris、おいしいとこ以外は手を抜いてそうなRickが並ぶ(Alanは、マイクスタンドの陰になってほとんど見えず)。前から6列目、Rick Wakemanの正面という、もう、私的に完璧な席。それにしても、てんでバラバラの個性のメンバーだ。そりゃ、何度もメンバー・チェンジを繰り返してきた訳だ。どうせ、このツアーも金儲け目当てで集まったんだろう、と頭の片隅では思いながらも、いやいや、メンバーみんな楽しそうじゃん。ほんとは良い奴らなんだよ、と肯定してしまう…

そう、意外なほどステージ上は和気藹々とした雰囲気で、演奏のレベルも高い。Steve Howeのギターがとても頑張っているし、Rick Wakemanとのソロの掛け合いも見事。今までに見た彼らのライヴの中でも、出色の出来ではないだろうか。35周年記念ということで、無理に新しいことにチャレンジせず、観客が望んでいるモノを聴かせるという方針だったのかもしれない。一曲目"Siberian Khatru"、二曲目に最新作"Magnification"が続くが、30年近く時を隔てた両曲に違和感が無いのがさすがだ。全体としては、アルバム"Fragile"からの曲が多い。一部の会場で演奏しているらしい"Close to the Edge"が無かったのは、ちょっと残念だ。

因みに、個人的に注目していた点。日本公演では、ソロ・コーナーで必ず「ぞうさん」や「赤とんぼ」など日本の童謡を歌う(会場の合唱を強要)Jon Andersonが、果たして、シンガポールではどうするのか?と思っていたら、なんと「Singapore Airlinesの唄」を歌ってくれた。さすが、不思議ちゃん。もう一つ、楽しみにしていたRick Wakemanのソロは、"The Six Wives of Henry VIII"。嬉しい。

別段、魂を深く揺り動かされる感動があったり、高度な芸術性に衝撃を受ける訳ではない。かといって、エンターテインメントとして凄い訳でもない。ただただ、彼らの作る音色、ハーモニー、メロディーが、本当に違和感なく染みこんでくる。これはこれで、至福のライヴ体験だ。前回書いた中島らもが、私にとって、なんでも許してしまえる作家だったように、このバンドは、客観的良し悪しを越えた、もう極私的腐れ縁的全面支持するぞロック・バンドなのである。

本編最後は "Awaken"。アンコールは "I've Seen All Good People" と "Roundabout"。完全燃焼。



滞日中、中野に行く用事がありました。以前、中央線沿線に住んでいたのに、サンプラザ以外には行ったことが無かったのですが、駅前を少し歩き、中野ブロードウェイなるショッピング・ビルに入ってみてびっくり。

庶民派と言うにはあまりにもディープな店舗がひしめき合い、そこかしこから、(偏った)日本のサブ・カルチャーの底なし沼的妖気が噴出。こういう所って、なかなか他国には無いと思う。ニッポンって凄いなぁ、と実感。