IN/OUT (2003.8.29)

ということで、夏の矢野顕子強化(と、それにかこつけた諸々)月間終了。


in最近のIN

ブルーノート東京を巡る冒険 (03.8.20-23)

Blue Note Tokyoでの、矢野顕子グループの公演を観るために、日本に行って来た。この公演は、6日間、12セットが行われたのだが、そのうち後半の3日間、6セットに参戦。

元の予定では、水曜に東京入りし、体調を整えた上で木・金・土のライヴに臨むつもりだった。しかし、水曜朝、夜行便で到着して、そのまま午後いっぱい、会社で打ち合わせする羽目に(夏季休暇を取って行っているのにぃ…)。木曜 & 金曜も、朝一番から打ち合わせが入ったが、ここは夏季休暇を主張して、昼からは、Blue Note Tokyoまで早い整理番号をもらうために並びに行った。そして、夜はライヴ、終演は23時過ぎ。体調を整えるどころか、疲れが溜まる一方の日程になってしまった。買い物などの小目的を達成することができなかったのも、残念。

と、文句はここまで。さてさて、Blue Note Tokyoである。噂には聴いていてが、実際に行くのはこれが初めてだった。評判通り、なかなか雰囲気の良いジャズ・クラブだ。

演奏は毎日2セット。17時半開場 / 19時開演の1st Show、20時半開場 / 21時半開演の2nd Showの総入れ替え制。電話予約したチケットが、当日の15時以降、整理番号付きで発券される。入場に際しては、この番号順に一組ずつ、店員が席に案内してくれる。自由席なので、どの席が良いかは、その場でリクエスト可能。席が決まれば、開演までゆっくりと食事を楽しむという趣向。初めてだと戸惑うこともあるのだが、こういったシステムが非常にしっかりと構築されていて、気持ち良い。従業員の役割分担や態度・身なりもきちんとしていて、皆、てきぱきと動いている(実は、一見、慇懃そうな物腰の割に、がさつな動きをする店員がいることにも、通ううちに気が付いたが)。

食事の方も、コスト・パフォーマンスには疑問があるものの、かなり美味しいものが多く、盛り付けも美しい。まぁ、テーブル席といっても、食事をするのに広いとは言えないのだから、あまり盛り付けに凝って大きな皿を使う必要は無いと思うのだが…

肝心の矢野顕子グループの演奏については、やのコレの方に書くが、しゃれた雰囲気で、ドリンク片手に聴く、ノリノリの演奏がつまらない訳が無い。キャパは300人程度。これぐらいの会場が、一番、楽しめるのではないかと思える大きさだ(観客だけでなく、演奏者にとっても、そうじゃないかなぁ)。

15時から発券というのは、勤め人には不利な設定だが、この広さなら、早い整理番号に拘わらず、開演ぎりぎりに飛び込んでも、ホールコンサートの中央辺りの席なんかよりは数段、ライヴ感溢れる好位置で演奏を楽しめるはずだ。もちろん、気合を入れて並びに行けば、演奏中のミュージシャンに触れられそうなステージ間近の席を取る事ができる。私も、6公演中、特に良い席を取りたかった金曜の2nd Showは、長時間行列暇潰し用にフル充電したiPodと、雑誌(これは座布団代わりにもなる)数冊を準備し、仕事を抜けた後は、タクシー車内でカロリーメイトの昼食を済ませることでロス時間をミニマム化して駆けつけ、整理番号2をゲット。結果、矢野さん超至近席を確保。

高級感溢れる綺麗な店内は、一歩間違えればスノッブで嫌味な空間になってしまいそうではある。一晩に二回のステージがあるのだから、一回当りの演奏時間は短く、しかし、料金は高い。ライヴだけを目当てに行くには物足りなさもあるだろう。しかし、システムとしての完成度の高さが、居心地の良さを実現しているように感じた。ここは、ライヴハウスではなく、演奏と食事と雰囲気を、トータルで楽しむ非日常空間なのだと思う。そういう意味では、いつか、あまり思い入れの無いミュージシャンの公演で、もっと空間自体を堪能しに、再訪したいものである。



せわしないスケジュールと一部駄目モードの自分に若干の悔いは残しつつも、ライヴ以外にも、美味しいものを食べたり、散歩したりと、楽しい事があり、良い休暇だったかな。

翌週、すぐに香港出張に出かけたため、訪日の余韻がすっかり上書きされてしまったようなのが、ちょっと残念な今日この頃です。