IN/OUT (2003.5.11)

満員電車で奥に詰めるとか、降りる人を優先して整列乗車するとか、苦手というか気が回らない人が大多数のシンガポール人ですが、意外にも律儀なのが、くしゃみをした時。かなり多くの人が、反射的に"Excuse me"と言います。これに関しては、小さい時からきちんとしつけられているように感じられます。


in最近のIN

Singapore Art Museum (03.05.11)

どうせしょぼいだろうと敬遠していた当地の美術館・博物館の類だが、来星四年目にしてようやく Singapore Art Museumに足を運んでみた。

City Hall駅から少々歩いたところにある美術館の建物は、元は19世紀半ばに建てられた学校だそうで、それ自体、なかなか美しい。しかし、現在、美術館の周囲でMRT新線の工事が行われており、通りからその姿が見づらく、アクセスもしにくくなっている。入り口では、SARS対策のため、発熱していないか、最近、香港や広東省などに旅行していないかなど問診票に記入することが求められる。こういったことのせいだろうか、日曜の昼下がりというのに、館内で他の客を一人も見かけなかった。私一人で貸し切り状態である。また、案内板に掲示されている料金は、大人3ドルとなっているのだが、実際には1.5ドルでOKだった。客を誘致するための値下げ措置なのか、はたまた、私が16歳以下の学生に見られたのか(学生以外では、60歳以上も1.5ドルなのだが、まさか、それはないだろう。多分…

国を代表する美術館の割には、がっかりするほど小さい。一階は常設展で、東南アジアの若手作家の作品が中心、二階が企画展で、今回は中国の二十世紀美術の特集、ということのようだ。いわゆるビッグ・ネームの有名絵画などは無い。内容は、いくつか印象的なものが散見される程度で、その前で数分間足を止めるというほどのインパクトがあるものは無かった。しかし、どのギャラリーに入っても、他に客がいないため、ついつい係員に気を遣ってしまい、足早になれないところが小心者である。

そんな中、二階のUpper Galleryには、シンガポール日本商工会議所の奨学金で武蔵野美術大学に留学した学生が制作した、マルチメディア作品が展示されていた。暗い室内に、いくつかの大スクリーンが置かれ、ビデオ映像が投影されている。アイディア自体は、ありがちだとは思ったが、観ている自分自身のシルエットもスクリーン上に映るのが、おもしろい効果をだしている。これは、観客一人だけというメリットをたっぷり享受できる展示だった。

必見という美術館ではないが、建物自体の雰囲気が良いし、オープンエアのカフェもある。入館料も安く、ちょっとした時間つぶしには、落ち着ける良い場所だと思う。



ただし、あくまでもくしゃみの時だけ。若い女性が口に手を当てずに大あくびするのは、しょっちゅうみかけるし、今日、当たったフット・マッサージのお姉さんは、マッサージ中、ゲップを連発。"Excuse me"は無し。当地の人の間では、くしゃみだけが著しく非礼だという共通認識があるのか? 謎です。