IN/OUT (2002.12.1)

007シリーズの最新作を観てきた。

お馴染みのオープニングが、ややこれまでと違う趣向になっていて、おや？ と思ったのだが、すぐにいつもの007パターンに。しかし、これ、大量生産品の007映画、という印象で、きちんと作り込んだ、という感じがしない。あっと言う間に女性を落とし、Qの秘密兵器を無造作に試し、マティーニに拘る、etc.。これらJames Bondの行為が、様式美というよりは、約束事を消化してますぅ という感じの描写になってしまっていると思う。現代的な感覚を加えようとしたと思われる編集も、こと、007 という伝統芸能の世界では不必要な外連だと思う。

さらに、今回のボンド・カーの装備や、悪玉の変装（？）の方法が、絵空事過ぎる。子供だましである。あの国が、捕虜に対して、筋肉を落とさないだけの十分な食事を与えていたの？ など、基本的な設定の甘さも目立つ。なんだかなぁ…。それにしてもこの設定、今の日本でちゃんと公開されるか微妙に心配でもある。

アカデミー賞受賞後、ボンド・ガールになった（出世コースなのか逆出世コースなのか？）Halle Berry嬢は、さすがの存在感だが、演技的には手を抜いてるような気がする。Miss Moneypennyの扱いも、ちょっとひどいんじゃないか？ もちろん、Sean Connery時代の雰囲気を今更期待するのは、間違っているのは分かっているが…

そんな中、唯一、Qに扮するJohn Cleeseが頑張っている。本編前に流れたタイアップのHeinekenのCM、今にも彼が"馬鹿歩き"しそうで、映画自体より面白かった。