IN/OUT (2002.10.20)

今年はHazeが目立つようです。インドネシア方面から、焼き畑の煙が漂ってきて空を覆うもの。ここ数年は比較的少なかったと思うのですが、今年は、結構ひどい。晴れているのに、空はかすんでいる。まぁ、西日本で見られる黄砂のように、部屋の中まで汚れてしまうというような被害が無いだけマシなのかも知れません。


in最近のIN

"Cesaria Evora" concert at Esplanade Theatres on the Bay (02.10.19)

Ceasaria Evoraの公演を観に、Esplanade Theatres on the Bayへ行って来た。

会場は、Esplanade Theatres on the Bayの中では二番目に広い Concert Hallで、キャパは1,600人。さすがシンガポール政府が気合いを入れて建造したホールだけに、非常に立派だ。イメージとしては、背中を大きく露出させたイヴニング・ドレスを着た女性と一緒に、正装して出掛けるような…。実際には、例によってTシャツ、サンダル履き。そんな格好で、開演前のホールでシャンパンなぞ傾けるのは、なんとも場違いだったかも。

広い舞台、高い天井、客席は舞台から扇形に拡がるのではなく、馬蹄形という感じのクラシックな作り。私の席は、二階のボックス席。それもはじっこ。平面的には、一階の一列目よりも前方の、舞台の真横。角度的には辛いが、ステージに近く、後方のミュージシャンの動きがよく見えて、楽しい。場内の音響がどうなのか判断するには不向きな場所だが、とりあえずアコースティック系の公演なら、良い感じで響きそうなホールである。

さて、Ceasaria Evoraは、Cape Verde(カーボベルデ共和国)出身。1941年生まれの女性歌手だ。不勉強にして、Cape Verdeという国の存在を今まで知らなかったのだが、Senegal沖 500Km の大西洋上に浮かぶ島国だそうだ。15世紀、ポルトガルの船が来航するまでは無人島で、後、ポルトガルの海外州となり、1975年に独立したとのこと。滋賀県程度の面積に45万人ほどが暮らしているらしい。

実際の演奏だが、地理的な関係から予想していた、アフリカ的な要素はほとんど無い。軽快なリズムと南欧風のちょっと翳りを帯びたメロディーライン。ピアノ、ヴァイオリン、サックス、パーカッション、ギターなどからなる7人のバックバンドを従え歌うCeasaria Evoraは、かなり貫禄十分の体型で、動きはほとんど無い。MCも無い。一時間ほど演奏したところで、バンド・メンバーを紹介し、ピアノの脇に設えられた食卓に腰掛ける。バンドがインストゥルメンタルを演奏する間、たばこに火をつけゆっくりくゆらし、水差しから水を一杯。一体どういう演出かと見守っていたら、そのまま立ち上がって次の曲を歌い出した。単なる休憩だったらしい…。堂々たる貫禄である。

MCは、このバンド紹介の一回だけで、後は淡々と演奏を続ける。汗振り絞る熱演とか、全身全霊を込めた熱唱というものとは違う、軽やかな雰囲気なのだが、公演の終盤頃にはすっかりのめり込んでいた。大排気量エンジンで、敢えてのんびりとドライブを楽しむような余裕と言うのだろうか。アンコールでの様子を見ると、軽快な演奏・歌唱を続けていたようで、実は、皆、かなりの集中と深い満足を持って歌い、演奏していたという事が伝わってくる表情だ。

満足して劇場を出ると、外の遊歩道では大道芸人のファイアー・ダンス。なんか、良い感じである。


Hazeのため、気管支系に不調を訴える人もいるそうですが、幸い、私はそういうこともなく。そう考えると、日本での杉花粉なんかと比べても全然マシ。ただ、トロピカルな青空が恋しくなりますが。