IN/OUT (2002.9.22) |
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矢野顕子さんの公演を観に、Londonへ行って来ました。 最近のIN愉快なLondon (02.9.19)矢野さんの海外公演を観る、というのは、かねてからの念願だったし、先日の旭川公演では、演奏自体を集中して鑑賞している余裕が無かったのが心残りではあった。たまに公演が行われるNew Yorkだと20時間かかってしまうが、今回公演が行われるLondonなら13時間で行ける…。ということで、二泊だけの短期スケジュールで渡英を決断。 木曜の早朝、Heathrow Airport到着。TubeでRussel Squareへ。宿泊先のホテルに、8時過ぎに到着。比較的安いホテルだが、一応、シャワー付き(バスタブは無し)。受付の女性や食堂で働くロシア人(?)留学生のお嬢さん方も、気持ちの良い対応で、こぢんまりとした快適な所だ。しかし、しかし、3rd Floorの私の部屋、床が傾いている。ベッドに寝ると、転げ落ちそうなほど。1807年に建てられたということだから、築約200年。ま、少々の傾きも仕方ないのか… シャワーを浴び、朝食後、Tate Modernへ。火力発電所だった建物を改装した美術館で、現代美術を中心に展示している。門外漢の私は、現代美術というと、一発芸的な早い者勝ちアイディア勝負か、大量生産商品と大して見分けが付かない物、という印象を持っていたのだが、ここの展示物には、とても感銘を受けた。何がどう、と説明するのが難しいのだが、パワーがみなぎっている、という感じの作品が多いのだ。気に入った作品のある部屋だと、そのままじっとしているだけで、こちらにもエネルギーがチャージされる感覚。建物自体の魅力と相まって、とても居心地の良く、同時に刺激的な空間だった。女学生の団体がスケッチしている姿もほほえましい。 その後、宿で仮眠を取り、夕方は、お目当て、矢野さんのLiveへ。 楽しいLondon (02.9.20)金曜日は、午前中、Kew Gardensへ。王立植物園である。平日の午前中、それほど来場者は多くなく、特に海外からの観光客をあまり見かけず、地元の年配の方達が目立つ。あと、写生している学生さんが、ここにも多い。静かで広々とした庭園。きれいな花々。植物園=退屈なところ、という先入観を打ち壊される思い。やや曇り空だが、暑くもなく、寒くもなく、のんびりのんびり。園内でケーキと紅茶。文庫本。 中華街で昼食後、大英博物館(きれいになっているのにびっくり)で、お茶を飲みながら、文庫本の続き。そして、夕方、再び、矢野さんのLiveへ。 矢野顕子、Live at PizzaExpress (02.9.19-20)ライヴの詳細は、やのコレの方に記載するつもりだが、ほんと、行った甲斐がある公演だった。会場は、地上階がピザのチェーン店で、地下がジャズクラブになっているところ。地上階から椅子を引きずる音が響いてきたり、外の消防車のサイレンが聞こえてきたり、また、演奏中も食器の音があちこちから聞こえてくるし、ウェイターが勘定を取りに来るなど、決して、演奏を集中して聴くには良い環境では無いだろう。しかし、この狭い会場で、ワインを飲みつつ聴く矢野さんの音楽、というのは、とても心地よい。あるいは、ホールで緊張して聴くよりも、この方が弾き語りというスタイルには合っているかも知れない。 場内は、日本人が7割ほど、あとは地元の人達。日本人の多くも、矢野さんのファンというよりは、「日本人のライヴパフォーマンスだから」という理由で見に来た駐在員や留学生だと思う。しかし、そうした人達を相手に、あるいは、そういった他流試合という雰囲気だからこそなのか、矢野さんの演奏は、いつも以上に力強く、ピアノのプレイ・スタイルに工夫を凝らすなど、実験的な面すら見受けられた。そして、場内の様子を伺えば、積極的ファンとは言えない人が多いであろう観客の多くに、きちんと音楽の感動が届いていたと思う。さすがである。いや、本当に、凄い演奏だった。さらに海外の小規模な会場での公演でお得なのは、終演後、サイン会を催してくれるということ。今更そういうのも照れくさいので、サインはもらわずに帰ろうと思っていたのだが、初日、あまりの感動に(厚かましくもCDを買わずに)列に並び、ご挨拶。ホテルまで30分ほど歩いて帰りつつも、感動冷めやらず。二日目も、同席した人にCDを買わせて、ちゃっかりサインの列に並んでしまった。 土曜日は、Portobello Roadのマーケットを覗いて、Kensington GardensのThe Orangeryで昼食。そして、帰星。 ホテルの床の傾きと、14年ぶりぐらいに訪れた中華街に、かつて通った、小汚いけどおいしい店が無くなっていたことが残念だったものの、本当に行って良かったと思った二泊でした。 |