IN/OUT (2002.8.4)

当地での最近のトップニュースは、Commonwealth Gamesで、シンガポール女子卓球選手が、初の金メダルを獲得したこと。スポーツに関しては全くの弱小国であるシンガポールにとっては、まさしく大ニュース。

なのですが、英連邦所属の国と地域(つまり、過去もしくは現在、英国の植民地だった国々)による4年に一度のスポーツ大会、Commonwealth Games自体に馴染みが無いので、いまいちピンとこないところがあります。日本にはもちろん参加資格は無いし、アメリカなど、いわゆるスポーツ大国と呼ばれる国々が出場していないので、日本語メディアでほとんど報道されないのも仕方のないところでしょう。オフィシャル・サイトに載っているいかにも英国らしい競技種目の数々には、興味をそそられますが。


in最近のIN

"PET SHOP BOYS A Lushington & Live Event" (02.7.29)

Pet Shop Boysの公演を観に、Singapore Indoor Stadiumへ行って来た。

ボーカルのNeil Tennantは、歌が格別上手い訳ではないと思う。ライヴ中、何カ所か、はっきりと音程を外したところもあった。頭髪に目をやれば、BOY とは言いにくい状況に立ち至っている。MCも控えめだ。キーボードのChris Loweは黙々と演奏するだけで、一言も発しない。ダンサブルな曲を演奏する割には、両人とも、ダンスを披露することもない。照明も舞台装置もシンプルだし、バンド・メンバーは皆、黒系統の服で、お互いのアイコンタクトも無く、バックに徹しているという感じだ。

それなのに、ライヴ・パフォーマンスは、全く飽きさせない。伝わってくるのは、センスの良さだ。楽曲の質やパフォーマンスの技巧ではなく、もう、これだけで、20年第一線でやってきたという、上っ面のお洒落とは一線を画したセンスの良さ。似たような曲調の演奏が多いのだが、中盤から、会場は総立ち。当地で、あれだけの数の観客を席から立ち上がらせ踊らせた構成力は大した物だ。


"Austin Powers in Goldmember" (02.8.3)

Mike Myers主演のお馬鹿映画シリーズ、第三作である。主要な舞台は、東京だ。

思いついたギャグを活かす背景を並べて、最後に三部作を締めくくる大団円を持ってきたら、必然的にこうなりました、という感じで、ストーリー自体に工夫があるとは言えない。レギュラー陣の描かれ方もおざなりだし、新キャラクターもインパクトが弱い。お馴染み、Burt Bacharachの出番に工夫が無いのが悲しい。総じて、過去二作に比べると、はじけ方が少ないように思える。

しかし、そうした弱点を補って余りあるのが、お笑い方面である。ネタ自体は、下系統、排泄物関連、ベタな駄洒落、人の容姿や「オランダ人」をバカにするなど、相変わらず低次元な物が多いんだけど、作り込みの丁寧さにMike Myersの根の真面目さが見え隠れしている。恒例、懐かしロックネタでは、Styxの"Mr. Roboto"絡みのギャグが、個人的に大受け。(知っている人には言わずもがなだけど、"robot"じゃ無いところがミソ

さらに、この映画の一番のお楽しみは、本筋とは関係ない所で登場するカメオ出演者である。名を明かすことがギャグのオチにつながる場合が多いので、全員を挙げるわけにもいかないが、Ozzy Osbourne一家, Britney Spears, Steven Spielberg, Quincy Jones などなど。さらに、セルフ・パロディを嬉々として演じる二枚目スターにアカデミー賞受賞俳優達。予想を遥かに超える顔ぶれだった。Mike Myersの人徳なのだろうか。

ということで、場内、爆笑につぐ爆笑。実は、当地でこそ、面白味が倍増しそうなネタも多かったのである。

確信犯的に誇張された東京の描写(富士山。芸者。相撲。ゴジラから逃げまどう群衆など)は、果たして日本ではどう評価されるだろう? あと、字幕で笑わせる部分を日本公開でどう処理するのかも気になるところだ。



ただ、マスコミの報道ほど国民が盛り上がっているのかは疑問です。Team Singaporeのキャンペーン広告("がんばれ ニッポン" みたいなものか)をペイントしたバスを見かけたりもしますが、サッカーなど一部の競技を除き、スポーツに熱狂する、ということが少ない国民性という気がします。子供にガリ勉を強要する教育システムのせいもあるのかも知れません。