IN/OUT (2002.3.17)

ここ最近、急速に店舗数を増やしているのが、"Bread Talk"というベーカリー・チェーン。店舗内で焼いたパンを並べ、客は好きな物をトレーに取っていく、というタイプの店です。押し並べて、スーパーなどで売られている量産パンのレベルが低い中、"Four Leaves"や"Sun Moulan Yamazaki"など、日系のベーカリー・チェーンが奮闘しているという感の当地にあって、一気にシンガポール人の心を掴んだ、という印象です。

その特徴は、アジア指向と言うのでしょうか。Floss という「そぼろ状の物」がたっぷりかかったパンや、Tom Yam風味の辛い具が入ったパンなどが並んでいます。どう見ても、権利関係をクリアしているとは思えない「あんパンマンパン」があるのも、アジア的、と言うべきか。


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"Okinawa Song & Dance Theatre CHURA Asian Tour 2002" (02.3.14)

「沖縄歌舞劇団 美 - CHURA アジアツアー 2002」の公演を観に、Victoria Concert Hallに行ってきた。

「美 - CHURA」は、琉球舞踏の最大会派「玉扇会」から選りすぐられた若手女性だけで構成された団体だそうだ。本日の公演は、
 ・ 歌舞劇「竜宮伝説」
 ・ 琉球舞踏:エキサイティング・オキナワ「太陽の花」
の二部構成。女性だけのメンバーで、一部が歌劇、二部がダンス・ショーというと、まるで宝塚歌劇である。

さて、第一部の歌舞劇だが、個人的には、もう、全然駄目駄目だった。浦島太郎の物語を下敷きにしているのだから、よほど工夫を凝らさない限り、学芸会風になってしまうのは避けられないと思う。しかし、その工夫というのが、エコロジーとか癒し方面では、私には、もう、全く受け付けられない。冒頭、主人公(浦島太郎に相当)が登場するシーン。彼は、海岸のゴミを拾いながら「あの綺麗な海はどこに行ってしまったのだろう」と独り言ちるのである。これが最初にセリフ。もう、この時点で、寒くなってしまった。

じゃあ、セリフが聞こえないことにして、シンガポール人の視点で見ればどうか、と言うと、これまたひどい。セットや舞台背景が何もないのだ。主人公は宝塚男役風の、普段着とは思えない洒脱な衣装。乙姫や魚(?)達は、かなりシュールな衣装。浦島物語の予備知識がある我々には、「ここは海岸だ」とか、「海底の竜宮城に着いた」とか、「今、目の前で繰り広げられているのは、タイヤヒラメの舞い踊りだ」と分かるのだが、そういうことを知らない人達(しかも、場内では、一切、英語や中国語によるフォロー無し)には、不条理劇にしか映らないのではないだろうか。いっそ、踊り手に、タイやヒラメのお面をかぶせてしまえっ、と思ってしまう。

ということで、第一部は、観ているこっちが身のやり場に困るという感じだった。あまりのいたたまれなさに、休憩時間、カフェテリアでビールをお代わりしつつ、第二部に突入。

こちらは、大分ましだ。陳腐なストーリーが無いだけ、純粋に楽しめる。しかし、それほど目を見張る動きがある訳でもなく、いささか退屈である。

これだけなら、期待外れという感想だけで終わるところなのだが、会場で1ドルで売られているパンフレットを見て、怒!。写真には、一部の歌舞劇、二部の舞踏ともに、立派な舞台装置や背景が映っている。これらがあれば、随分と受ける印象は変わるはずだ。海外公演でお金がかかるから、運んでこなかったのだろうか? しかし、海外だからこそ、舞台装置などに手抜きをせず、全てを見せ、伝える努力をすべきだと思う。あるいは、セットが無いなりの工夫を考えるべきだ。確かに、音楽や踊りは、言葉を抜きにしても他国の人々に訴える力があるだろう。しかし、そこに甘え過ぎた企画にように感じられて仕方がない。



Bread Talkについて、ちょっと調べようかと思って検索エンジンを使ったのだけど、オフィシャル・サイトはまだ無いらしい。そして、ヒットしたのは在星日本人のサイトばかり。この手のベーカリー・チェーンの充実に期待する日本人がそれだけ多い、ということなのでしょう。