IN/OUT (2002.2.3)

当地のショッピングセンターで特徴的なのは、小規模な同じ業種の店が密集していること。いかにも中華系の人らしい商売形態だと思うのだけど、結局、品揃えの中途半端な店ばかり沢山あるということで、いささか不便です。紀伊国屋やBorders、HMV、ベスト電器など、徐々に大型店も増えているようではありますが。

ヨドバシカメラと東急ハンズの進出を切に願う今日この頃です。


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「翻訳者の仕事部屋」 (02.2.3)

翻訳家、深町真理子氏のエッセイ集。ちくま文庫刊。

かつて、Agatha Christie氏のミステリにはまっていた頃に、その翻訳者として深町氏の名前は覚えた(実は、小泉喜美子氏と混同していた時期もあったのだが…。彼女も名翻訳家だと思う)。Christie & 深町真理子 の組み合わせは、当時の私にとっては、快適な読書を保証する太鼓判のようなものだった。原文と訳文の相乗効果なのだろう、とても読みやすいのである。同じChristie作品でも、他の翻訳家の手による物は、なにか違和感を覚えることが多かった。また、最近は、ミステリではRoss Macdonald辺りのハードボイルド物に興味が移っているのだが、どうも翻訳に恵まれていないような印象が拭えない。

そんな彼女のエッセイは、訳文と同様、読みやすい日本語で書かれている。しかし、その内容は、プロフェッショナルとしての自信に満ちた明快なもので、意外なほど気骨に富んでいる、という印象だ。ミステリやSF関係の訳書が多い彼女だけに、私にとって楽しめる話題も多く、なにより翻訳に直結する話では、こちらが想像もしていなかったような工夫や拘りを披露してくれる。翻訳小説を読む人全てにお勧めしたい好著だと思う。



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"Black Hawk Down" (02.2.2)

Ridley Scott監督の新作を観てきた。1993年、内戦下のソマリアを舞台に、将軍の身柄拘束作戦の失敗から悪夢のような銃撃戦に巻き込まれる米軍兵士達を描く、事実に基づいた映画である。

ほぼ全編、壮烈な戦闘シーン。しかし、何らかのミッションを遂行するための戦闘では無いのだから、カタルシスが無い。軍隊と言うよりは暴徒を相手に、逃げる、耐えるの連続である。また、坊主頭の軍人さんだと、いまいち人物の個性が掴みにくく、感情移入できる登場人物がいない。結果、後味の悪い映画となってしまった。

実際にこのMogadishuの衝突では、アメリカ軍側に19人、一方のソマリア側には千人の死者が出たという。しかし、アメリカ人一人一人の死は重く描かれるのに、ソマリア人は、もう十把一絡げに撃ち殺される。これが、一昔前のハリウッド製娯楽映画なら、悪役としてのドイツ兵や日本兵、あるいは冷戦時代のソ連スパイ、なんかが主人公に蹴散らされても、エンターテインメントと割り切って楽しめる。しかし、国連平和維持活動の一環としての作戦を描いたとなると、単純には考えられない。PKOを「平和維持」とは捉えず、豊かな国による「軍事的お節介」だと反発し、何かのきっかけで集団ヒステリーのように暴力行為に出たのは(そして、米兵に撃ち殺されたのは)、何も、内戦を主導していた軍人だけでは無かったと思う。

結局、製作陣はこの映画で「アメリカの兵隊さんは、自由と民主主義を守るため、世界中で、こんなにも自己犠牲を払いながら頑張っているのです」というメッセージを伝えたかったのだと思うが、全面的に肩入れする気にはなれない。まぁ、いつもよりは控えめではあったが、Ridley Scott監督独特の深みのある絵作りは随所に見られ、その点では眼福であったが。



このところドライ・アイ気味なので、職場の人に眼科医を紹介してもらいました。場所は、Mt. Elizabeth Medical Centre。シンガポールでもかなり規模の大きい、有名な医療施設です。今回、初めて行くまでは、一つの大病院だと思っていたのですが、実はクリニックの集合体。全部で288の個人開業医がビルの中にぎっしり詰まっているという、まさに病院の専門店街でした。いかにも、シンガポールらしい医療施設という感じ。

来週は、旧正月休み。近くの国へ4泊ほどの旅行を計画しているので、更新はしばらく先になりそうです。