IN/OUT (2001.10.7)

狂牛病の影響で、日本からの牛肉が輸入禁止になっています。当地では、過去6年間に狂牛病発生が確認された地域からの牛肉輸入は全面禁止という、厳しい(シンガポールらしい)方針が取られているのです。

果たして、町の食堂で見かけていた「神戸牛」メニューも無くなるのかが、別の意味で気になっています。"Kobe Beef"は、高級牛肉のブランド名として浸透していて、それを惹句にしている飲食店が多いのです。ここで、看板を下ろすかどうかで、本当に神戸牛を使っていたのかが明らかになりそう。そう言えば、先日訪れた台北でも、怪しげなしゃぶしゃぶ屋に「神戸牛」の貼り紙がしてあったけど、あの値段じゃ、どう考えてもバッタもんだよなぁ。


in最近のOut

"The Corrs in Concert" (01.10.6)

アイルランド出身の兄妹バンド、The Corrsのコンサートを観に、Indoor Stadiumに行って来た。

The Corrsは、文字通り、Corr家の一男三女で結成されたバンドで、ポップスとケルト音楽を融合させた作風で人気だ。「ポップス」「ケルト音楽」「バイオリンをフィーチャー」「美人三姉妹」と、キーワードを取り上げると、実に私好みなのだが、CDを聞く限り、期待外れのバンドでもある。ケルト的特長に弱く、ポップスとしても甘い、毒にも薬にもならない音楽というのが、その印象。

さて、40分押しで始まったコンサートだが、まずは、そのPAのひどさに驚いた。安っぽいディスコ音楽用のセッティングとしか思えない。そしてまた、PAが悪いから余計に演奏が下手に聞こえるのか、演奏が下手なのを誤魔化すために敢えてああいうPAにセットしたのか、とにかく、演奏の方も、私としては、物足りない。最近のThe Corrsは、デビュー時のアコースティックなポップスから、ダンサブルな音楽への脱皮を志向しているようだが、ライヴ・パフォーマーとして、明らかに技量が不足している。特にドラムス、単調すぎ。バイオリンもそれほど表現力があるようには聞こえないし、ギターに至っては、テープの力を大分借りていたんじゃないだろうか?

曲自体は、耳障りの良いメロディーラインだし、中盤、Caroline嬢がドラム・セットを離れ、ピアノやタンバリン&コーラスに回ったパートの出来の良さを考えると、やはり、リズムを強調したアレンジは、彼らには向いていないように思える。自分がプロデューサーなら、まず、PA担当者を総とっかえ。ドラムスもバンド外から招聘。アコースティック系の演奏を増やし、ダンサブルなアレンジは終盤のみにして一気に盛り上げるのに、などと勝手な事を考えつつの鑑賞となってしまった。

しかしながら、こんな斜に構えていたのは私だけのようで、超満員の観客は、すごい熱狂ぶりである。一曲終わる毎に、怒濤の如き拍手と歓声。あれだけ熱烈なアンコールは、シンガポールで見たコンサートでは空前絶後だった。すっかり置いて行かれてしまったみたいだが、あの演奏でそんなに盛り上がれるかなぁ? 皆、Andrea嬢の露出度の高い衣装に誤魔化されていたのじゃないか?

ただ、アンコール・ラストの、バイオリン、ギター、ドラムス、Tin Whistle、による、ケルト調インストゥルメンタルの演奏は、テクニック云々は置いとくとして、いかにもアイルランドの音楽好き家族が楽しく合奏していますぅ、という感じで好感が持てた。全編、この雰囲気なら良かったのに。



狂牛病の感染ルートとして取りざたされているのが肉骨粉。一方、こちらで人気の屋台メニューは肉骨茶BAK KUT TEH)。骨付き肉を香辛料やら漢方系の薬草のようなものと一緒に煮込んだもので、元々は肉体労働系の人々の定番朝食だったそうです。使われているのは豚肉なので、狂牛病とは全く無縁なのですが、日本から来た観光客には看板を見て誤解する人がいるかもしれない、と杞憂する今日この頃です。