IN/OUT (2001.8.5)


本文に書いた携帯電話一斉切り替えサービスですが、広い会場で大量の人をてきぱきさばくシステムは、さすが「秩序と規制の国」という感じでした。

こういう行列ができる場合によくあるのが、無料ミネラル・ウォーター・サービス。ペット・ボトル入りのミネラル・ウォーターを配っているのです。勤めているオフィス・ビルでも、年一回の避難訓練の時、ミネラル・ウォーターを配布していました。暑いから脱水症状予防ということなのか? だけど、屋内の行列だと、冷房の利きすぎで寒いぐらいという場合が多いのだけど。


in最近のIN

これで世界標準 (01.7.30)

当地では、SingTelM1Star Hubの三つの携帯電話キャリアがあるが、全てGSM方式を採用している。M1だけ、CDMA方式のサービスも提供しており、私は当初、このマイナーなCDMAの方を契約していた。料金の安さに釣られたのである。しかし、M1では、昨今の世界の通信状況を鑑み、GSMへの統一を決定した。当初の予定より早く、一斉切り替えが開始され、私もさっそくSuntec Cityの特設会場で、新しい端末、Nokia 8210を受け取ってきた。費用は68ドル。WAP機能付きのNokia 3330への交換なら無料だったのだが、IrDAポートの有無により、8210の方を選択した。これで、GSM & Nokiaの端末という王道的携帯環境となった訳である

GSMの最大の利点は、世界中のキャリアがローミング・サービスの提携をしていて、同じ端末・番号のままで、ほぼ全世界で使えることだ。CDMAが優位な北米ですら、多少はGSMのキャリアがあるのに、日本では全く使えないのが残念である。以前、日本の大手通信業者の人が
「日本は欧米と時差があるので、海外で端末が使えても、深夜に日本から電話がかかってきたりして、逆に不便だ」
などと雑誌上で語っているのを読んだことがあるが、何を言ってるんだか。そんなの、電源を切って、Voice Mailを残してもらえば良いのである。それより、世界中どこでもつながる安心感と利便性の方がよほど大きい。

電話番号などの設定がSIMカードというICカードに格納され、ユーザーが自由に差し替えできるので、端末を簡単に取り替えることができるのも便利な特長である。因みに、このSIMカード。実物を見るまでは、メモリーカードのようなごつい物を想像していたのだが、実際には小指の先ぐらいのボール紙に金属端子がひっついているだけの、良く言えば低コスト・実用性重視、悪く言えば安っぽい物だった。

また、こちらの端末には、赤外線ポート(IrDA)が搭載されている物が多い。ケーブルを使わなくても、PDAやノートPCと簡単に接続できる。iPAQ Pocket PCで試してみたが、出先でのメールチェックに非常に便利である。

ただし、当地では、i-modeのようなインターネット接続サービス(WAP)は提供されているものの、それほど流行っているようには見えない。そのため、大型カラー液晶画面のついた端末などは、とんと見かけない。また、いわゆる着メロにしても、和音なんて使えない。まぁ、元々、着メロなんて嫌いなんだけど。いずれにしても、マルチメディア系の進化はそれほどでもない。というか、日本の携帯電話って、かなり特殊な方向に進んでいるように見える。一人一人の個性は色々でも、全体としての「国民性」ってあるよなぁ、とつくづく思う。


SCORPIONS "Acoustica Live" (01.7.30)

ドイツのベテラン・ハードロック・バンド、Scorpionsのライヴに行ってきた。タイトルは"Acoustica Live"。Rudolf Schenkerを始め、メンバーの多くが50歳を越えているだけに、パワーの衰えをアコースティックということで誤魔化すのではと、開演前には悪い予感を抱えつつ、会場のSuntec Cityに向かった。

会場には、白人の他に、マレー系が目立つ。今までシンガポールで見たコンサートは、ポップス系のものが多く、中華系の観客が多かった。今回の人種構成は、はっきりとマレー系の方が多い。ロック好きが多いというのも、「民族性」なのだろうか。

コンサートが始まってみると、今まで行ったコンサートとは、まったく観客の雰囲気が違う。通路に立ち上がり、拳を振り上げ、咆哮する。当初、観客を座らせようとしていた警備員も、すぐにギブ・アップ(もっとも、強制排除される人も何人かいたが)。しかも、ほとんどの曲で大合唱。観客の多くが、歌詞を覚えていて一緒に歌えるのである。さすが、シンガポール人、英語ネイティブである。それにしても、Scorpions、こんなにも(マレー系の人達に)人気があったのか。

肝腎の演奏の方だが、予感は、良い方向に裏切られた。チェロやアコースティック・ギターのプレイヤーをゲストに迎え、「いつもよりアコースティック度数を高めにしておりますぅ」、というだけで、全然アン・プラグドじゃない。プラグは刺さりっぱなしだった。特に、後半、ドラムとパーカッションのソロ・バトルのあたりから、もう、一大ハードロック大会。さすが筋金入りのベテラン勢。足腰のしっかりしたハードロックを聴かせてくれた。

ということで、喉が枯れるほど叫び、歌い、翌日肩が張るほど腕を振り上げ続けるという、完全燃焼ロックコンサート。こんなパフォーマンスをシンガポールで楽しめるとは、まったく予想もしていなかった。



コンサート会場では、たまたま隣に、4人連れの日本人会社員が座りました。うち、一人は、普段はロックなど聞いて無さそうな、上司風。恐らく、娯楽の少ないシンガポールのこと、若手社員についてきたのでしょう。で、開演前に、

「君、このバンドは何人なのかね?」
「確か5人だったと思いますが、パーカッションなどがおいてありますから、メンバー以外の演奏者もいるのでしょう」
「そうか、応援団もいるのか」

Supportを応援と訳すのも、間違いじゃないからなぁ。えーと、チェロの美人お姉さんなど、応援団の皆様も熱演でありました。

今週後半から週末にかけて、社員旅行。次の更新は再来週以降になります。