IN/OUT (2001.7.29)


香港出張中、現地のスタッフにタピオカ入りのミルクティーをごちそうしてもらいました。台湾発祥の飲み物で、中華圏で大人気。アメリカでも「Pearl Tea」の名前で売られているとのこと。

シンガポールに戻ると、今度は、職場のスタッフが「Bubble Tea」を飲んだことがあるかと訊いてきました。一杯余っているから試してみろ、ということで渡されたカップを見てみると、まさに香港で飲んだものと同じ。なるほど、呼び名は色々だけど、確かに中華圏全般で人気があるみたいです。

どういう飲み物かと言うと、甘めのアイス・ミルクティーの底に、大粒のタピオカが沈んでいるというもの。直径8mmぐらいありそうな太いストローで、タピオカごと吸い込みつつ飲むことになります。タピオカの粒が大きい → ストローが太い → 普通のストローより強く吸う → 激しい勢いで口中にタピオカ突入、という次第で、なかなか面白い飲み心地ではあります。

タピオカ自体にはそれほど味が無いので、全体の味は、普通のアイス・ミルクティー。それに、モチモチとしたタピオカの食感が合うかと言うと、うーん…。二つを一緒に吸引することの必然性が、よく分からない。別に、まずくない物同士の組み合わせだから、構わないのだけど...


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「3001年終局への旅」 (01.7.22)

Arthur C. Clarke氏の「2001年」から始まる「Odyssey」シリーズの完結編。原著が1997年の発行ということは、1917年生まれのClarke氏が80歳近くになってからの著作と言うことになる。

小説としては、駄作と言わざるを得ないだろう。あの難解と言われた映画「2001: A Space Odyssey」と比べると、実に分かりやすい話になっている。それも、ここまで分かりやすく書いてしまっちゃ、身も蓋もないという感じの分かりやすさ。さらに、オチが某大駄作SF映画と同じアイディア(どちらがどちらを盗用した、というものではないみたいだ)というのが、トホホである。しかしまぁ、80歳の著者に複雑な構成の大作を望むのは酷と言うものだろう。

しかしながら、「2001: A Space Odyssey」に衝撃を受けた者としては、やはり胸の熱くなる話である。何より、近年では若手の作家との合作が増えた著者が、「今回のオデッセイばかりは、わたしひとりの仕事でなければならなかったのだ(本書「終わりに」より引用。伊藤典夫氏訳)」と語っているのが泣かせる。文庫本で25ページに及ぶ詳細な「典拠と謝辞」を読めば、著者の変わらぬ科学への情熱と信頼が伝わってくる。物語自体は残念な出来映えだったが、Clarke氏の心意気に感じ入った。



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「村上ラヂオ」 (01.7.28)

雑誌「anan」に連載された文章をまとめた、村上春樹氏の最新エッセイ集。帯に「しみじみ、ほのぼの。」と、私の嫌いな惹句が書かれていたので嫌な予感がしたのだが…

雑誌の購読層=若い女性、を対象に書かれた文章だからしかたないのだろう。しかし、話題の選択にしても、言葉遣いにしても、オチにしても、媚びている感じが鼻につく。まったく心意気が感じられない。村上氏の著作でここまでがっかりしたのは初めてだ。



最近、町中に「Bubble Tea」を売っているスタンドが目立ち、気になっていたのだけど、どうも腰が引けて入ったことがありませんでした。どの店も、結構繁盛しているけれど、客のほとんどが地元の若い衆。Starbucksのようなコーヒー・ショップとは違い、西洋人の姿は皆無。となると、当地の回転寿司屋で実感した、日本人とはかけ離れたシンガポール人の嗜好に対する不信感が、足を遠のけていたのです。結果的には、積極的に飲むほどではないが、不味くは無い、というところでした。それにしても、立て続けに、香港とシンガポールでおごってもらえるとは。