IN/OUT (2001.6.3)


先々週中盤から、大阪→徳山→萩→福岡→香港。前半コンサート、後半仕事のせわしない移動でしたが、楽しかったぁ


in最近のIN

The Chieftains公演 (01.5.25)

大阪、ザ・シンフォニーホールで行われた、アイルランドのトラッド・ミュージックの長寿バンド(結成は1962年)The Chieftainsのコンサートへ行って来た。

クラシックのコンサートが催されることが多い会場だけに、ザ・シンフォニーホールは、なかなか格式の高い雰囲気だった。開演前に一通りのカクテルが飲めるコーナーが設置されているのはありがたいのだが、ギネスを売っていなかったのはマイナス。過去に行ったThe Chieftainsのコンサートでは、必ず、場内でギネスを売っていて、アイルランド気分を盛り上げていたのだが。また、格式が高いからなのか、開演前に流れる「ご注意」の放送が、やたらと長い。事細かな注意の最後には
「傘が倒れて音がしますと、他のお客様のご迷惑になります。傘をお持ちのお客様は、床に寝かせて置いて下さい」
なんとも馬鹿丁寧なことである。後から、矢野さんもこの事をMCでネタにしていた。自分と同じところに反応していたのねん、と、ちょいと小市民的にうれしくなる。

演奏の方は、いつものThe Chieftainsの公演と同様、メンバー5人(本当は6人だが、1人は体調不良でツアー不参加)に、ゲスト・プレイヤーが絡み、要所要所で、ダンサー二人も登場というスタイル。ゲスト・プレイヤーは、、ギター二人、フィドル一人、ヴォーカル一人、さらに特別ゲストに矢野顕子さん、という布陣である。

合間にジョークを交えつつ、余裕のステージのベテラン勢と、それぞれのソロパートで、素晴らしい技巧を聴かせるゲスト・プレイヤー達。矢野さんは、第二部の冒頭で、ソロを二曲披露し、さらにThe Chieftainsと一緒に二曲、ラストの大セッションでも登場。席が最前列左端だったため、舞台右で踊られていたお楽しみのアイリッシュ・ダンスがよく見えなかったのが残念だが、歌って踊って、シンプルながら深い音楽の楽しさに満ち満ちた時間を過ごす。


出前コンサートの旅。徳山 (01.5.26)

ついに、20年来の望みが叶い、矢野顕子さんの出前コンサートを見に行くことができた。コンサートの詳細は「やのコレ」の方に記録するが、本当に、行って良かった。

出前コンサートというのは、「矢野さんの歌を聴きたい!」という人が、会場とピアノを用意して矢野さんをお呼びするもの。お蕎麦屋さんに蕎麦の出前を頼むように、矢野さんにコンサートの出前を頼むわけだ。もちろん、そこから実際にコンサートが実現するまでには、大変な準備作業が必要な訳で、ファンの熱意とそれに応える矢野さんサイドの心意気の結晶と言えるだろう。普段、コンサートツアーでは訪れないような地方で開催されることが多く、今回は、山口県徳山市。会場は、駅前商店街の外れ、大規模駐車場ビルの1階にあるホール「ピピ510」。

徳山には昼頃に到着したのだが、予想以上に何も無い町だった。せっかく瀬戸内に来たのだからと、駅前商店街で寿司屋に入ったのだが、ここが、他の客は皆、お昼の定食メニュー「生姜焼き」とか、「鍋焼きうどん」を食べているようなところで、大失敗。さらに、喫茶店を探すが、常連さんが日がな一日たむろっているような昔ながらの店ばかりで、どこも入りにくい。東京から来ていた友人に後で聞いたところ、彼が入った店には「ドトールより美味しいコーヒー。スターバックスより美味しいエスプレッソ」と貼り紙がしてあったらしい。地元に無い店を比較対象にして勝手に勝利宣言してしまうとは、恐るべし、徳山。

コンサート終演後は、友人と食事へ。飲食店マップで、まともなメニューがありそうな「ゆあーず」という居酒屋を探して行ってみた。少々ダサい店名とは裏腹に、なかなかおいしかった。活け作りのヒラメとサヨリの中骨も唐揚げにしてもらい満足度高し。

その後、やはり飲食店マップに「週末は若者で大にぎわい」と紹介されていた「チャーリーズ」へ行く。カクテル1000種類常備、というお洒落な店らしいのだが、なるほど、若者で大にぎわいだった、ほぼ満席。それにしても、店名はカタカナで「チャーリーズ」なのだが、店の看板には「Charry's」。 一般的なチャーリーさんは「Charlie」と書くはずなのだが… これで良いのか、徳山?


出前コンサートの旅。萩 (01.5.27)

出前コンサートを追っかけ、徳山から萩へ移動。

昼間、萩城跡を散策し、名物「ウニ丼」を食べる。萩には随分昔に一度来たことがあったのだが、こんなに小さな町だったけ? という感じ。古い町並み、夏みかんが実った庭先、などを眺めつつ、のんびり歩くには良い佇まいである。

この日の公演会場は、Villageというジャズ・バー。ジャズ・バーと言っても、外から見ると、住宅地の中にある小さな喫茶店という雰囲気で、出前史上最も小さい会場というのもうなずける。おかげで、超至近距離で矢野さんのプレイを堪能。

公演後は、翌朝の飛行機に福岡空港から乗るため、一気に博多に行くことにしていた。19時頃ではすでに小郡行きの高速バスが運行されていないため、山陰本線から美祢線を乗り継いで厚狭へ出、そこから新幹線。夕食は、ローカル線で駅弁、という計画だったのだが、山陰本線でも美祢線でも、乗った列車は、一両編成のワンマン列車。座席はボックス席ではなく、ロング・シートである。これでは、車内販売などあるはずもない。かなり期待はずれだったのだが、これが現在のJR的旅情、というものか。

結局、夕食は博多のホテルでルーム・サービスのカレー。しかし、矢野さんのプレイが頭の中にしっかり残っている状況では、何を食べたって、幸福感で一杯だった訳である。


iPAQ Pocket PC (01.6.3)

今回の日本行きのもう一つの目的が、iPAQ Pocket PCの入手だった。

実際に試してみると、これが予想以上に使える。レスポンスも速いし、小さい画面も結構読みやすい。外出先でのメールチェックとちょっとしたメモ書きには、十二分の性能だ。後は、FTPクライアントの良いソフトが見つかれば、少なくともPower Pointプレゼンテーションをする必要が無い出張などには、これ一台で問題ないだろう。MP3を再生させてみると、意外に音質が良いのにも驚いた。オーディオ機器としては詰めが甘く、ウォークマン代わりに常用するかは迷うところだが、あと数世代後の製品では、本当に一台で何でもこなせる万能携帯マシンに進化しそうである。

機能が制限されているからこそ、カスタマイズのしがいがあるのも楽しい。あれこれいじくって、かなり自分好みの環境が構築できた。これでまた愛着が湧くというものだ。初期不良率の高さが取りざたされているし、ビジネスマンの情報武装としてはPalm系のマシンの方が優れていると思うので、万人にお勧め、という訳では無いが、良いマシンだと思う。



実際に行ってみると、出前コンサートは、小さな会場で矢野さんの演奏を満喫できるということの他に、普通は行く機会の無い地方へ旅する楽しみも大きいのだなと感じました。徳山だって、茶化して書いてしまったけど、決して悪印象を持った訳じゃなく、初めての町を歩くのは楽しいものでした。今後、出前追っかけ遠征、癖になりそうっす。