Gwyneth Paltrowが出演し、彼女の父親、Bruce Paltrowが監督したということで話題になった映画。カラオケ・ロードムービーとでも言うべき怪作だった。
二年前、Portland, Oregonに住んでいたときには、日本食レストラン以外でカラオケのある店を見かけたことは無かったが、この映画で描かれる世界では、KARAOKE Barは、すっかり米国社会に溶け込んでいる。実際に今ではこうなっているのか、あるいは地域差があるのか?「カラオケ」でも「KTV(東南アジア圏ではこう表記されることが多い)」でもない、KARAOKEの様子は面白いのだが、決して高尚な趣味として認知されている訳では無いようだ。物語のクライマックスの全米カラオケ大会が、優勝賞金5,000ドル、開催地はOmaha、という微妙なトホホ加減なのがそれを物語っている。
それぞれ事情を抱えた三組・六人の登場人物達が、このカラオケ大会に集ってくる道中を描き、少しほろ苦く、少しハッピーなエンディングに至るわけだが、どうにも演出力不足で、盛り上がらない。もちろん、この手の人間ドラマは、セリフ全てをキャッチできないと、ちゃんと理解することが不可能なので、あるいは、日本語字幕付きで見たなら、印象が変わるのかもしれないが。
特筆すべきは、あのHuey Lewis氏が出演していること。KARAOKE荒らしの役なんて、ロッカーとしての誇りはどうした? と問いかけたくなるが、やはり、秀でたミュージシャンというのは、存在感がある。
映画自体は、駄作だと断言して良いのだけど、どうも憎めない魅力があるのが困ったところである。題材がKARAOKEだけに、なまじ感動作に仕上がるより、これぐらいの駄目さ加減が良いのかもしれない。「Sweet Dreams」とか「Bette Davis Eyes」など、私的ストライク・ゾーンの曲が取り上げられていたのも嬉しいところ。