Jennifer Lopez主演の、スリラー映画。相手の脳内の疑似現実世界に入り込んで治療を施す、という研究をしている心理学者が、捜査協力のため、異常殺人鬼の意識の中に入っていくというお話。
「羊たちの沈黙」的世界とヴァーチャル・リアリティ的設定という、流行ものを組み合わせた物語な訳だが、被害者救出という「羊」側には、あまり重きが置かれておらず、もっぱら、殺人鬼の心の中に展開される、グロテスクな悪夢的イメージの視覚化に力が入れられている。過去の映画や絵画からの引用が多く、それほど斬新さは無いのだが、なかなか凝った映像ではある。
因みに、劇中のTVに、フランス・チェコ合作の傑作SFアニメーション"La Planete Sauvage(The Fantastic Planet)"が映っているシーンがあり、この事だけで、スタッフに対する好感度が大幅アップしてしまった。1973年製作のこのアニメには、色々と思い入れがあるのだ。
閑話休題。そもそも、Jennifer Lopez嬢が学者、というキャスティング自体に無理があると思うのだが、製作者陣の真の目的は、「幻想的な背景で、Jennifer Lopezに色々な扮装をさせて、お客さんに楽しんでいただこう」ということなのだろう。なお、衣装には石岡瑛子氏の名前もクレジットされている。
いかにも上昇志向が強そうなJennifer Lopez嬢だが、悲しいかな、私には、どうしても「安さ」が感じられてしまう。ただ、その辺の微妙な雰囲気が、ややキワモノ的なこの映画にはピッタリだったと思う。