IN/OUT (2000.9.10)
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会社から自宅に帰る途中、City Hall駅に、そごうがあり、食料品売り場を重宝しているのですが、最近、品揃えが急に悪くなってきました。日本で経営状態が悪化したのを受け、既にこの春には、入居しているビルから契約更改を拒否され、今年一杯での閉店が決定していたのですが、その時点ではまだ変化は無かった。やはり、日本での経営破綻が確定してから、一気に、商品棚が寂しくなり、野菜などの品質が落ちた、という印象です。


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食在香港  (00.9.9)
香港へ出張してきた。二泊のうち初日は、偉いさん達と一緒に日本料理屋だったが、二日目の夕食はローカルスタッフに連れ出してもらった。

訪れたのは、金元海鮮小館という、Causeway Bayにある中華料理屋。繁華街からはやや離れた所にあるし、店の外観に目を引くところもなく、一人で町を歩いていて入ることはまずあり得ないだろうという感じの店なのだが、料理の方は大したものだった。紹興酒で締めて蒸し上げた車エビは、シンガポールの海鮮料理屋でも見かけるメニューだが、素材、味付けともはるかに良い。絶品だったのは、素揚げにした蟹に、きつね色に揚げたニンニクのみじん切りを山盛りにかけた料理。以前、香港に来たとき、大ぶりのシャコをやはり素揚げにし、きつね色ニンニクをまぶした料理を食べ、それも十分においしかったのだが、今回の蟹の迫力には負ける。店が庶民的なせいか、ニンニクの量に遠慮が無く、まさに山盛り。これが絶妙の塩気と香ばしさなのだ。このニンニクを最後まで取っておいて、ラストの汁ソバに薬味として加えると、さらに満足度5割増し。やはり、地元の人はおいしいところ・おいしい食べ方を知っているものだ。

その後、アイリッシュ風パブへ。客層の西洋人比率が高く、ライヴ演奏が行われていて、なかなかに小洒落た雰囲気である。シンガポールにも、海鮮料理屋もあれば西洋風酒場もあるのだが、どうも香港の飲食店の方が層が分厚く、快適な所が多いと感じる。


「幻の女」/「災厄の町」  (00.9.10)
昔から、村上春樹の文章を読むと、何故だか古い探偵小説を読みたくなる。ビールを飲みたくなったり、「華麗なるギャツビー」を読みたくなったりはしないのだが。で、先週の村上春樹に続いて、今週は、アイリッシュの代表作とクイーンの中期の傑作を手に取った。

「幻の女」は、小学生の頃、児童向きに翻訳されたものを読んだことがあるはずなのだが、章立てが「死刑執行前 百五十日」から「死刑執行後 一日」までカウントダウンされていくという部分しか覚えていなかった。改めて、きちんとした翻訳で読むと、非常に魅力的なお話である。冷静に考えれば、警察の無茶苦茶な捜査ぶりが、どうにも非現実的だし、読む方が気恥ずかしくなるような表現が続出する文体(冒頭の「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」( 稲葉明雄訳) が有名だが、全編、この調子の大時代がかった甘美な文章なのだ)も、現代的じゃない。しかし、物語の進め方、サスペンスの盛り上げ方の巧みさが素晴らしく、それでいて、最近のミステリにはない上品さが感じられる。アイリッシュ/ウールリッチの作品を、集中的に再読してみようという気になった。

一方の、エラリー・クイーンは、「国名シリーズ」と「悲劇シリーズ」しか読んだことが無く、理屈っぽいばかりであまり魅力の無い作家だと思っていた。しかし、「災厄の町」は、トリック自体は、単純で、簡単に謎解きができてしまうものなのだが、物語としての味わいがあり、「クイーン=本格派過ぎて退屈」という固定観念が覆されてしまった。本作でのクイーン氏(作者名ではなく、作品中の探偵名)はハードボイルドという印象さえ受ける、魅力的な人物だ。中期以降のクイーン作品も、今後の要チェック・リストに追加。



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中華的Wedding Dinner  (00.9.9)
同僚のシンガポール人(中華系)の結婚披露宴に行って来た。当地では、入籍後、1〜2年、生活基盤、経済基盤を固め、それから、このような宴を催すのが一般的らしい。彼らも、法律上の結婚=入籍は1年前(中華系の場合、結婚後も名字は変わらない。完全な夫婦別姓である)だが、ウェディング・ディナーをもって、本当の「結婚」として周囲に認められるという風潮のようだ。

前日、他のローカル・スタッフに、いくらぐらい包むのが相場か、服装はどうすべきなのかを質問。相場は、友人同士の場合で60ドル以上。襟付きの服なら、上着やネクタイは不要とのこと。文房具屋で赤い袋を買って、お金を包み、準備万端出かけたのだが、後から確認したところ、私が買った袋は「出産祝い用」だったらしい。「寿」みたいな字が書かれていたから大丈夫と思ったのだが、結婚式用は「福」が上下逆さまに書かれた(こちらにも福が返ってきますように、という意味らしい)袋が正解とのこと。まぁ、外国人出席者なんだから、大目に見てくれ。

招待状には、7時からカクテル・サービスがあり、ディナーは「7.30pm sharp」からサーヴされる書かれていた。わざわざ「sharp」で強調されているのだからと、7時半ちょうどには会場のホテル宴会場についたのだが、この時点で席は30%ぐらいの埋まり具合だろうか。会場の雰囲気は日本の披露宴と同じようなもので、円卓が21(1卓10人 = 200人強の出席者)。大体、標準的な規模らしい。

で、中国茶を飲みながら待つ。待つ。待つこと1時間15分。披露宴が開始されたのは、8時45分だった。もちろん誰も怒らない。シンガポール時間恐るべし。

新郎新婦が入場し、最初にケーキカット。仲人の報告や主賓の挨拶などは無く、そのまま食事開始。途中、新郎新婦の生い立ち紹介のスライドが上映され、お色直しの後で、新郎が、出席者と両親に感謝の言葉を述べた他は、特にスピーチなども無し。

11時過ぎ、デザートが出終わり、何となく皆が席を立ち始め、そのまま披露宴終了。幼児連れの出席者がこの時刻まで残っているのも、宵っ張りのシンガポールらしい。

ということで、二人の門出を祝福するにやぶさかでは無いのだが、時間のルーズさに疲れてしまった土曜の夜であった。



他に、通勤途中に日系スーパーが無いので、やや不便を感じています。日本食材を買いたいというのじゃなくて、地元のスーパーだと、特に野菜類が、しおれたようなのが多くて、購買意欲をそそられない。店内がドリアン臭いのも難点。米国やオーストラリアの、だだっ広く、きれいな野菜が山盛りにされ、缶詰その他の食料品が壁のようにそびえているスーパーマーケットを羨ましく思い出す今日この頃です。