IN/OUT1998/3/22


人間ドックに初めて行ってきました。受診者は皆、青い診察着に着替えさせられます。男性スタッフは白衣、女性スタッフはピンクの白衣(って、矛盾した表現だが、あの服、白衣としか言いようを思い付かない)。三色に分類された人間が、近代的な検査機器の間をうろうろ、というのは、昔のSF映画に出てきた「超管理社会になった未来世界」のような光景です。

最新式の検査機器と言うのはなかなか興味深いものですが、まあ検査自体はそれほど面白い訳じゃありません。ただ、腹部エコーなる、超音波で内臓の様子を調べる検査は笑いをこらえるのに苦労してしまいました。

カーテンで仕切られた個室の薄暗いベッドに横たわり、診察着の前をはだけて、お腹の上を検査機器で撫で回されるのですが、担当が若い美人の女医さん。かなり怪しい雰囲気です。で、この女医さん、息を吸ってお腹を膨らませるようにという指示をするときに

「はい。息を吸ってお腹を膨らませまぁす。止めまぁす」

と可愛い声で言うのですが、たまに

「お腹を膨らませまぁす。ぷぅぅぅぅっ」

と言うのです。これを何度もやられたため、もう笑いをこらえるのに必死でした。あられもない格好で「ぷぅぅぅぅっ」と言われて、お腹をプーっと膨らませている自分、というのは、今思い出しても吹き出してしまいます。小児科じゃないんだから、まったく。あるいは、おじさんを喜ばせるための確信犯なのでしょうか?



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HANA-BI  (98.3.17)
北野武監督の映画は今まで食わず嫌いだったのだが、なかなか感心させられた。ストーリー自体は、予定調和的な感は否めないが、語り口で引っ張っていく。暴力描写や主人公が死ぬラストが好きじゃない私としても、ラストでの集約の見事さにはうならざるを得ない。

ただ、久石譲氏の音楽は、あまりにも情感がこもりすぎていて、ちょっと邪魔になっているような気がした。


夜の姉妹団  (98.3.22)
エスクァイア日本版に掲載された、柴田元幸氏が選び翻訳した14の短編を一冊にまとめたもの。別に統一のテーマがある訳ではなく、様々なタイプの「現代英米小説」が並んでいるのだが、柴田氏が「面白い」と感じた小説、という部分での統一感のようなものも感じられ、とてもハイ・クオリティのアンソロジーになっている。柴田氏の翻訳する小説に外れは無い、という評判を聞いていたので購入したのだが、どうやら、この評判は信頼して良さそうである。



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「SF大将」 by とり・みき  (98.3.18)
とり・みき氏の漫画/文章は、SF者としての視点や笑いのセンスが気に入っている。もっとも、中島らも氏や石川三千花氏も好きとなると、単に「絵付きの読みやすいエッセイ」が好きなだけ、という気もしてくる....

で、この本には、とり・みき氏による39編のSFのパロディ漫画が収録されている。出版社があの早川書房というのがみそである。39編のうち、元ねたを読んでないものの方が多かったのだが、今後の読書ガイドとしても役に立つか、と考え購入。

まぁ、面白かったんだけど、やっていることは、吾妻ひでお氏の二番煎じという感は否めず。センス・オブ・ワンダーが命のSF小説は、パロディにしやすいのが当たり前なだけに、期待が大きすぎたのかもしれない。ハードカヴァーで購入するにはコストパフォーマンスが合わなかった。

もう一つ苦言を呈するなら、「とり・みき」を「Mickey Bird」と表記するのはいかがなものか。「久保 コムロの腰巾着 こうじ」が「Cozy Kubo」と名乗るのと同じぐらい恥ずかしいと思うのだが....



moving付録 : 今週のお引越し

人間ドックの受診
海外赴任の前後には、人間ドックでの健康チェックが義務づけられている。一日公休を取って行ったのだが、実際には2時間ほどで終了。


家財道具内覧会
会社の同僚とその家族7人を招き、引き取ってもらえる家財道具を選んでもらう。すっかり油が馴染んで良い具合になっている中華鍋や、12年ほど鳴らしこんで良い音具合になっているスピーカーなど、手放すには忍びないし、経済的にも痛いが、仕方ない。予想以上に引き取ってもらえそうだが、まだ大物がいくつか残っている。



土曜日には、やのコレ関連の友人と自宅近くで飲み会。日曜には同僚達が自宅を訪問。今まで、ネット関連や会社関連と、自宅周辺のプライベートなテリトリーとがクロスすることが無かったので、ちょっと妙な感触でした。シリーズ物の小説に、別の小説の登場人物が出てきてしまったような感じ。そういえば、「地底世界ペルシダー」に「ターザン」を登場させるという荒業を使っていた作家もいたなぁ....


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