IN/OUT (2017.3.19) |
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気がつけば、重いコートでは暑さを覚えるような季節。そして、スギ花粉のピークでもあります。 最近のIN「N. S. ハルシャ展 - チャーミングな旅」@森美術館 (17.3.19)インドのアーティスト、N. S. Harshaの個展を観に、森美術館に行ってきた。1969年生まれの彼の、1995年以降の主要な作品(絵画が中心だが、大規模なインスタレーションもある)を網羅した展覧会である。 彼は、インドのマイスール生まれで、現在もマイスールに住み、創作活動を続けている。マイスールは、インドのシリコンバレー=バンガロールがあるカルナータカ州の古都だ。彼の作品には、インドが擁する多様な言語・宗教・文化と、そこに持ち込まれた近代化やグローバリズムとの相克が背景にあるようで、中々見応えがある。代表作「ここに演説をしに来て」(6枚のキャンバスに、びっしり、約2000名の人物が描かれている)は長時間観ていても飽きることが無いし、全長24メートルの超大作「ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ」は、まさに宇宙の全てを描ききったような迫力だ。 作者がインドに拘った創作活動を続けている事から、会場には資料展示コーナーが設けられ、地図や解説文の他に、マイスールの町の様子を映したビデオを上映したりもしている。また、マイスールで発行されている地方紙を手に取ることも出来る。この展示のやり方は、とても良心的だと思う。 予想以上にインド成分が高い展覧会で、非常に楽しい。最後の物販コーナーでは、インド雑貨やレトルト・カレーも売っている。それも、最近、私がハマっているにしきやのインドカレーというのが、嬉しかったりするのである。 最近のOUT"Sing" (17.3.18)Illumination Entertainment製のアニメーション映画を観てきた。 動物たちが人間のように暮らす世界を舞台に、寂れた劇場の再起をかけて歌のオーディションを企画するコアラの支配人。そこに応募してきた、主婦=豚、ロックスターを目指す若者=ヤマアラシ、ギャングの父親の手先をしているが本当は歌手志望の青年=ゴリラ、極度の恥ずかしがり屋で自分に自信が持てないお嬢さん=象などなど。それぞれ失敗や挫折を抱えた者達が、歌の力で人生を変えようとするというお話。 物語は、極めて薄っぺらい。展開は、全くの予想通り。動物たちを主人公にすることで、人間社会への皮肉を込めているかと言えば、そんな事も無い。それでも、Reese Witherspoon(彼女が豚の主婦役!というところに、時の流れを感じてしまう…)や、Scarlett Johansson(ヤマアラシのロッカーというのは、彼女のイメージにピッタリ)らの見事な歌唱力と、劇中で披露されるヒット曲の数々で、画面には惹きつけられるし、音楽の素晴らしさを実感することができる作品ではある。特に、Queen & David Bowieの"Under Pressure"が上手く使われていたのは、嬉しいポイントだ。 しかし、私がこの映画を観に行ったのは、予告編で、Aerosmithの"Dream on"(正確には、Eminemがこの曲をサンプリングした"Sing for the Moment")が流れているのを見たからなのだ。この名曲を使うとは、なんと趣味の良い音楽映画なのだ!と期待して劇場に来たわけだ(Aerosmithの曲でも、例えば"I Don't Want to Miss a Thing"では、見たくなることは無かっただろう)。しかし、この曲が映画内で流れることは無かった…。予告編のためだけに使われた曲だったのだ。恐らく、歌詞が映画の内容に合っていることから使ったのだろうが、音楽を売り物にした映画の宣伝に、その映画で使われていない楽曲を使うというのは、詐欺だ。許しがたい詐欺行為だ。もう、怒り心頭なのだ。 あと、中田ヤスタカ(きゃりーぱみゅぱみゅ)の曲が、かなり沢山使われていた事に驚いたのだが、調べてみたら、この映画の製作には、Illumination Entertainmentの他に、電通とフジテレビも参加していたのだ。なーんだ。金を出すから自国受けする要素を入れさせるなんて、最近の中国企業と一緒じゃないか。 一年経てば忘れちゃうせいか、毎年、今年こそ過去最悪のスギ花粉だ、と思ってしまうわけですが、今年もそう。歳を取ると、急に花粉症の症状が出なくなる、という経験談を何人かの先輩に聞いたことがあるのですが、早くその境地に至りたい。 |