IN/OUT (2008.2.24)

雨や極寒・猛暑以上に、強風というのは外出意欲を削ぎますね。


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"The Golden Compass"08.2.24

有名児童向けファンタジーの映画化作品を観てきた。邦題は「ライラの冒険/黄金の羅針盤」。

魂が肉体の中ではなく、動物の姿をした「ダイモン」としてその人に連れ添っている、という世界を舞台にした冒険譚だ(「ダイモン」は英語では"Daemon"。発音は「ディーモン」に聞こえるので字幕に違和感があるが、"daemon"は、元々はギリシャ神話の神の名前で、日本では「ダイモン」と呼ばれているため、このカタカナを当てたのだろう)。この世界には、魔女や、知性と独自の文化を持つシロクマが存在する一方で、主人公は現実のロンドンとよく似た都市で暮らしており、我々の住む世界のパラレル・ワールドとなっている。原作は三部作で、この後、パラレル・ワールドをまたいだ、より壮大な物語が展開されるという。その原作は、宗教的・哲学的な奥の深さから、児童文学の枠を超えた文学作品として高く評価される一方で、一部のキリスト教団体からは、反キリスト教的作品として敵視されているそうだ。

映画は、これだけ壮大な物語の序章を、手堅くまとめている。独特の世界観を違和感なく受け入れられるように映像化したのは見事だ。しかし、あまりにも手堅すぎて、結局、粗筋を追うだけで終わったような気がする。盛り上がるべきシーンで、血がたぎらないのだ。残念。

元々、得意分野ではないファンタジー映画を見に行った理由は、一つ。エンディングに流れるのが、Kate Bush様、久々の新曲だからである。曲としては、やや凡作という感じもあったが、大きな劇場内にKate Bushの麗しい声が響くのを体験するだけで幸せだ。いつもは、延々と続くクレジットに行儀良く付き合う観客を馬鹿にする私も、今回は、曲が終わり、Kate Bushの名前が画面に映るまで、お行儀良く席に着いていたのである。



駅前スーパーマーケットに夜9時半頃行くと、かなり高い確率で、Kate Bushの"Wuthering Heights"が流れている(BGM用にアレンジされたインストゥルメンタルではなく、ちゃんとしたオリジナル)というのも、最近の小確幸なのです。