IN/OUT (2006.9.10)

良くも悪くも、8月以降、生活ルーチンが固定してしまったままのようです。


in最近のIN

"Padayappa" (06.9.9)

「踊る! 兄貴祭り <チャンドラムキ>公開記念映画祭」の三週目。今週の作品、邦題は「パダヤッパ ~いつでも俺はマジだぜ!」

主演はもちろん、"SUPER ☆ STAR" Rajinikanth 。今回は、村の有力者の跡取り役。大学出のインテリという一面も持つが、歌も踊りも腕っ節も正義感も、さらに親孝行でもずば抜けていて、村人からの人望は異常なほど高い。映画のラスト近くでは、ほとんど聖人扱いだ。しかし、高慢な金持ちの娘からの求愛を断り、使用人の身分だが心優しい女性と結婚したため、高慢娘から執拗な復讐に狙われることになる。

先々週のチャンドラムキや、先週のヴィーラが、比較的馴染みやすいストーリーだったのと比べると、この作品のストーリー展開は、一般的日本人の価値観では計り知れないものがあり、万人に勧めるのが難しいかもしれない。しかし、"SUPER ☆ STAR"の決め決めぶりがさらにパワーアップしていて、楽しい。なお、自らスーパースターと名乗るRajinikanth だが、あくまでもタミル映画界の話である。インド映画=Bollywoodでは、ヒンディー作品の方が全国区の本流であり、タミル語の作品は、地方区、傍流なのである。ただし、シンガポールはタミル系の住民が多く、タミル語が公用語の一つとなっていた。インド人街でもRajinikanth の人気は高く、私も、彼をスーパースターと呼ぶことに、何の違和感も無いのである。

映画館では、インド人男性の二人組が隣に座っていたが、Rajniが、決めのポーズを取るたびに、拍手喝采の大騒ぎ。やはり、こうやって騒ぎながら観るのが正しい鑑賞法なのだと感じた(ただし、この二人、IT系企業で働くエリートという雰囲気も有り、「大衆映画に熱狂するステレオタイプのインド人」を日本人の前で演じていたという気がしないでもない)。


中越地震復興記念 ミティラー美術館展 インドの民族アート」 (06.9.9)

映画観賞後、たばこと塩の博物館で開催中の展覧会を見てきた。

ミティラー美術館は、新潟県十日町市にある、インドのミティラー画やワルリー画のコレクションで有名な美術館だが、2004年の地震で大きな被害を受けたそうだ。今年7月、ようやく再開し、それを記念しての展覧会ということらしい。

ミティラー画は、インド東北部に伝わる壁画だ。ランプの煤や木の実などを画材としているということで、派手な色遣いは無いが、竹を削った筆によるとても細密な線が印象的だ。会場では、製作実演が行われていたが、細い線を少しずつ書き足していく作業は、見ているだけで気が遠くなりそうなものだった。展示されている作品の一つ「上弦の月を喰べる獅子」は、SF作家 夢枕獏氏に多大なインスピレーションを与え、彼の代表作である同名小説が執筆されるきっかけとなったそうだ。

この他、ワルリー族によるワルリー画、ゴンド族によるゴンド画も展示されている。いずれも、古代から継承されてきた原始的な力強さに溢れるが、さらに、現代的な感覚も加味されているように思え、興味深い展示だった。



映画の後、渋谷の街を歩いていて、たばこと塩の博物館の展示をたまたま見つけた訳で、どうも、知らず知らずのうちに、インド・アンテナが発達しているのかと思う今日この頃です。